フェルナンジーニョやチアゴ・シウバが日本代表戦に先発予定【写真:Getty Images】
ブラジル代表のチッチ監督は9日、日本代表との国際親善試合に向けた前日記者会見に出席した。
ロシアW杯本大会までに残された時間は少なく、代表チームとして活動できる機会も限られてくる。ブラジル代表にとっても当然「フレンドリーマッチだが、W杯のために重要な準備の場」になっている。
記者会見の席ではチッチ監督が日本戦のスタメン11人を予告した。GKはアリソン(ローマ)、DFは右からダニーロ(マンチェスター・シティ)、チアゴ・シウバ(PSG)、ジェメルソン(モナコ)、マルセロ(レアル・マドリー)。そしてMFはアンカーにカゼミーロ(レアル・マドリー)を置き、フェルナンジーニョ(マンチェスター・シティ)とジウリアーノ(フェネルバフチェ)が前目に構える。
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチも警戒していた3トップはガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)を頂点に、右にウィリアン(チェルシー)、左にネイマール(PSG)が先発出場の予定だ。
W杯の南米予選では比較的メンバーを固定して戦っていたブラジル代表は、日本戦を今後に向けた重要なテストと捉えている。チッチ監督はこれまで主力ではなかったダニーロやチアゴ・シウバ、ジェメルソン、フェルナンジーニョ、ジウリアーノといった選手たちを抜擢する理由を丁寧に説明した。
「フェルナンジーニョはレナト・アウグストと違うポジションですが、このポジション(インサイドハーフ)もできます」と、チッチ監督は語る。本来はレナト・アウグストが入るインサイドハーフで出場する見込みだが、マンチェスター・シティでもアンカーを務めているため普段とは全く異なる役割になる。それでも「パスを捌く能力を備えており、戦術的なスキルもある」と評価はすこぶる高く、中盤のバリエーションを増やすためのテストになるだろう。
ジウリアーノに関しては「中盤で少し自由にプレーする」と明かした。隣に立つフェルナンジーニョよりも幾分か攻撃的な役割になると見られる。チッチ監督によれば「我々の中盤での最初のアイディアはコウチーニョ、カゼミーロ、フェルナンジーニョでしたが、コウチーニョはこの試合に向けてフィットしていません。このチャンスはジウリアーノが勝ち取り、与えられるものです」と、トルコでプレーする司令塔に期待を寄せている。
最終ラインに関しては「ダニーロもジェメルソンも控えでした」と述べた上で「ダニーロにはクラブでプレーしているポジションでふさわしいチャンスを与えたい。同じことはジェメルソンにも言えます」と指揮官は語り、奮起を促した。彼らにとってはラストチャンスになるかもしれない。
ブラジル代表に復帰したチアゴ・シウバとマルセロは、もともと主力を張れる実力者であり、その意味で現在の状態を見るための起用とされている。ブラジルメディアによれば、実際に練習でこのメンバーが出場することを隠してはいないとのことで、過去のW杯予選でも試合前の練習や記者会見で先発する11人が判明したことがあった。
スターティングメンバーが相手に漏れることよりも、自分たちの選手たちをテストする方が大事。あるいは選手たちに奮起を促す、指揮官自身の選手起用に関する考えについて説明責任を果たすことの方が重要と考えられているのだろう。様々な選手にチャンスが与えられる日本戦は、決して余裕なのではなく、W杯に向けて生き残りをかけた本気の準備の場なのである。
(取材:植田路生【リール】、文・構成:編集部)
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