功労者の移籍。ファンは静かな反応
1月後半にイングランドを騒がせた、フアン・マタのマンチェスター・ユナイテッド移籍。しかし、スペイン代表MFを売ったチェルシーの地元、西ロンドンは思いの外に静かだった。
もちろん、ニュースでは「残念」、「淋しい」といったファンの声が伝えられた。だが、マタと言えば、過去2年連続でファン投票によるチーム内MVPに輝いた人気者。プレミアリーグの昨季アシスト王でもある。
しかも、今季の優勝争いからは脱落しているとはいえ、あのユナイテッドへの売却。ファンによる抗議の嵐が吹き荒れてもおかしくはない。にもかかわらず、チェルシー界隈は無風に近かった。
移籍金は、ユナイテッド史上最高の3710万ポンド(約64億円)。2年半ほど前、バレンシアからの獲得に要した金額を23億円余り上回る。今季のチェルシーでは、開幕から17試合出場のみに留まっていた事実を考慮すれば、売却の妥当性は誰もが理解できる。とはいえ、ファンの静かな反応は「覚悟」があってのことだ。
マタの危機が初めて指摘されたのは昨季終盤。昨年6月にチェルシーの監督に復帰したジョゼ・モウリーニョが、レアル・マドリーを率いていた当時の話だ。再就任の3ヵ月前には、“スペシャル・ワン”の「帰還希望」説と共に、「マタ不評」との噂がスペインから伝わってきた。チェルシーのファンには理解できない噂ではなかった。
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