ここ数年繰り返されてきた「なぜダメなのか」という自問自答
今季のCLにはプレミアリーグ勢が5チーム。いずれも、グループステージ3節終了時点でグループ首位に立っている。今季の組分け抽選を前に、「欧州での成功にはサイクルがある。またプレミアの時代もやって来る」と言っていたのはガリー・リネカーだが、早速「再来」の期待が芽生えているイングランド国民も少なくはないだろう。
8シーズンで7度、CLファイナリストを輩出した前回のプレミア黄金期。ところが、2012年のチェルシー優勝を最後に早期敗退が珍しくないシーズンが続いている。
昨季にしても、「1シーズン限定出場」が明らかだったレスターが、唯一の8強入りで気を吐いた格好だ。この2、3年はCL戦翌朝ともなると、国内各紙で「なぜダメなのか?」という自問自答が繰り返されてきた。
だが、今季は違う。『テレグラフ』紙スポーツ1面に、「まさにチャンピオン」との勇ましい見出しが躍ったのは、去る10月18日。
前夜のCL戦では、トッテナムがレアル・マドリーと敵地で堂々の引分けを演じ(1-1)、リバプールが、欧州でのアウェイゲームではクラブ史上最大の得点差でマリボルを下し(7-0)、マンチェスター・シティが、ナポリとの攻撃サッカー対決をスタイリッシュに制していた(2-1)。
プレミア勢の懐を潤わす巨額の放映権収入が可能にする、総体的な戦力アップと一線級監督の招聘の成果が現れ始めたとも受け取れる一夜だった。
マウリシオ・ポチェッティーノ体制4年目のトッテナムは、現役CL王者を相手に意表をつく5-2-3システムでポイントを奪った。
前線ではデレ・アリ、中盤の底ではヴィクター・ワニャマといった主力の欠場も重なったビッグゲームで、元来はポゼッション志向のポチェッティーノが戦術面で柔軟性を示し、選手たちも指揮官が採択したオプションを機能させた。
主砲のハリー・ケインが決めたかに見えた先制点は敵のオウンゴールだったが、アウェイゴールの数でレアルを抑えてのグループH首位でステージを折り返すことに成功した。