パチューカの本田圭佑、代表ウィーク中にオランダ凱旋
今の本田圭佑はコンディションからしっかり立て直そうとしている時期なのだろうか。そういう観点から10月9日に行われたPSV対パチューカの親善試合を見ると、かなり調子が上向いてきている気がした。
試合が0-0で終わると、フィリップス・スタディオン(PSVのホームスタジアム)のすぐ外で本田圭佑は多くの日本人に囲まれファンサービスに応じていた。
「ヤバイ! サイン、もらっちゃった! こんなこと、日本だったら、あり得ない」
アイントホーフェンの駅に向かう途中、ファンの一群がこう言って興奮していた。その言葉が意味するところは、スターの本田圭佑から、たやすくサインを頂戴する機会は日本ではなかなかない――ということなのだろう。
VVVフェンロのハイ・ベルデン会長は、本田に“スター”としての資質があることを見抜いた人物だった。本田というスターにケチな移籍金は相応しくない。だからこそ、ベルデン会長は本田のことを『1000万ユーロの男』として売り出したのだ。
本田はオランダから日本へ逆輸入されたスターである。星稜高校時代には国立競技場を沸かせ、名古屋グランパスでは次世代のスター候補と謳われた。2008年1月にはVVVへ移籍した。その夏には北京五輪があった。しかし、本田がブレイクを果たすことはなかった。多くの批判を浴びた北京五輪を終え、オランダに戻ってきた本田が戦う舞台は2部リーグだった。1部リーグ時代の本田を追いかけていた日本メディアは全て撤退した。
本田のオランダ2部リーグ時代の記事を読んだ記憶のある方もいるだろう。その大部分は、「原稿料も経費もいらないから、会社の許可ももらわず勝手にスタジアムに来ちゃった」というフリーランス記者たちの取材によるものである。
困ったのはオランダ2部リーグの試合が金曜日の夜20時キックオフだったことだ。VVVの本拠地があるフェンロはドイツ国境近くの街なので、出来れば1泊したいが、私たちにはお金がない。だから23時すぎの終電に間に合うかどうか、冷や冷やしながら取材していた記者もいた。