ニュージーランド戦、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の戦術選択は的確だったのだろうか【写真:Getty Images】
フットボールチャンネルの次世代サッカー情報番組『F.Chan TV』。10月6日には、日本代表のニュージーランド戦に合わせて裏実況を生配信した。
多くのチャンスを作りながらなかなかゴールを奪えない日本は、終盤に倉田秋が勝ち越しゴールを挙げて2-1で辛くも勝利をもぎとった。この試合を実況として見守った下田恒幸氏は「B級のスラッシュメタルを聴かされているみたいだった」と、ゲーム運びの拙さを指摘した。
有名バンド「スレイヤー」を引き合いに出し、「単純に言うと、リズムの変化やメロディのメリハリとか、アンサブルの妙みたいなものがほぼなかったので、もうちょっといい曲かけろよ日本代表! いい曲かけるだけのパーツはいるだろうってちょっと思って見ていた。スレイヤーはたまに聴くといいんですよ。でもずっと聴くとめちゃ疲れるんですよ」と、変化の乏しさがスコアに影響したのではないかと分析している。
最近はポゼッション指向から抜け出し、堅守と速攻を重視したサッカーに切り替わり始めている日本代表。それでもかつてのスタイルを安易に捨てるべきではないと、下田氏は考えている。「やっぱりアジアを勝つにしても、W杯に出たにしても、たぶんいろんな顔を持っていなければいけない」と、多彩な戦術の重要性を説く。
さらにヴァイッド・ハリルホジッチ監督が日本代表メンバー発表会見で、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のパリ・サンジェルマン(PSG)対バイエルン・ミュンヘンの試合を例に、ポゼッションが全てではないと持論を展開した場面にも言及。「至極その通りですけど、日本にネイマールとムバッペはいませんから」と述べ、「ボールを持ったらいくらでも持ち倒せるチームがバイエルン・ミュンヘンのスタイルを見て、あのプランを組んだから勝てたと僕は見ていた」と、豊富な戦術の選択肢を持つPSGの戦略勝ちであると分析した。
下田氏が「うまくいかない典型だった」と語ったニュージーランド戦で、解説を務めた鹿島アントラーズの前監督・石井正忠氏も、戦術的なバリエーションの少なさに同意する。「ひとつの戦い方ではやっぱりダメだと思うんですよね。オーストラリア戦でああいう結果を出せた。今回ニュージーランドに対しても、本当に自分たちが、それこそポゼッションして圧倒する戦いもできなければいけなかったんじゃないかと思う」と、別の戦い方があったのではないかと指導者目線で自らの考えを述べた。
石井氏は「ゲームをコントロールする選手というのが、もうあと1人、2人出てこないと」とも述べている。試合のペースをうまくコントロールできなかった日本代表は短期間で修正し、10日のハイチ戦でニュージーランド戦と違った戦い方を見せられるのだろうか。
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