これまでの“守備的フォワード”という立ち位置
直近のボーンマス戦では後半15分に惜しいシュートはあったものの、ゴールを奪えなかった岡崎慎司。とはいえ今季は、まだ開幕から7試合ですでに昨シーズンに並ぶリーグ戦3得点(全公式戦では4得点)を挙げており、ここまでは好調を維持している。
自身3得点目を決めた先月23日のリバプール戦後には、「今は割と流れが来ているかなという感じはしますね」と岡崎らしい独特の言い回しで調子の良さを表現していた。
プレミアリーグ参戦以来、過去2シーズンの岡崎はレスターに欠かせない選手の一人としてプレーしてきた。しかしそれは守備のタスクを厭わないハードワークが売りの、世にも珍しい“守備的フォワード”という立ち位置を確立した結果であり、本来の希望であるストライカーとして重用されてきたわけではなかった。
岡崎が加入してから2年強にわたりレスターを見てきたが、ひいき目抜きにしても、チームが機能する傾向が高いのは、この日本代表がセカンドトップの位置に入り、エースのヴァーディーと中盤の間に入る潤滑油としてプレーしたときだった。
それにもかかわらず、クラウディオ・ラニエリ前政権から現在のクレイグ・シェイクスピア監督に交代して以降も、不可解な先発落ちや途中交代が目立っていた。もちろん戦術的な背景もあるが、最大の要因は点を取らないフォワードのイメージが定着したためだった。
過去2季の岡崎の出場時間に目を向けてみると、奇跡の優勝を成し遂げた15/16シーズンはリーグ戦合計36試合に出場し、総出場時間は2069分で一試合平均のプレータイムは57分。先発した28試合に限れば、同66分である。そして昨季は、リーグ戦30試合に出場し、総出場時間は1571分。1試合平均のプレータイムは52分、先発出場した21試合においては同65分だった。
翻って今季は、まだ序盤戦とはいえ、ここまで6戦出場して372分間プレー。一試合の平均プレータイムは62分。負けないチームをいじらない、ラニエリレスターが優勝した2季前よりも5分も長くなっており、さらに先発出場した5試合に限定すると同73分間プレーし、過去2季に比べてともに7分と8分長い間ピッチにいる計算になる。