日本の駐在員によって作られたクラブが前身
今年から新たに正式なプロリーグとして立ち上がったPFLこと、フィリピン・フットボールリーグ。全8チームからなるPFLに、JPヴォルテス・マリキナという、日本人を中心としたクラブが参戦している。
日本の駐在員たちが作った『マニラ・オール・ジャパン』が前身のJPヴォルテスは、昨年までのUFL(ユナイテッド・フットボールリーグ)時代に2部から1部に昇格すると、首都マニラに隣接するマリキナ市のフランチャイズとしてPFLの創立メンバーに加わった。
オーナーは、フィリピンで事業を行っていた日本人の永見協氏。永見さんは「学校をさぼっては駒場グラウンドにサッカーを見に行っていた(笑)」という、生粋のサッカーファンだ。
現在は貧困層の子供たちを支援するNPO法人のフィリピン代表も務める永見さんは、フィリピン人がサッカーで成功することを支援する一方で、海外でプロサッカーに挑戦しようという日本人選手もサポートしている。よってJPヴォルテスでは、外国人枠4名はすべて日本人、フィリピン人枠でプレーできる日比ハーフの選手が4人、他はフィリピン人選手で構成されている。
現メンバーの日本人選手で最古参の小田原貴選手はチームキャプテン。東京農業大学のサッカー部出身で、大学では造園を学んでいた。フィリピンでプレーしていた大学の先輩が日本に帰国した際に今のクラブの関係者を紹介してくれて入団に至った。
「日本人のクラブなので苦労はなくて、暮らし自体も、ちょっと怖さはあったけれど来てみたら大丈夫で、とくに不自由な部分はなくて3年目になります」
24歳と若いが、あまり動じないところが頼もしい。入団初年度は、常に上を目指そう、という意識があまり見えないフィリピン人選手たちにジレンマを感じていたというが、自分も歳を重ね、年上の先輩たちの落ち着きを見ているうちにどっしり構えていられるようになったという。
今季の目標は、プレーオフに進出して、決勝戦に残ること。決勝まで残った2チームに来季のAFCカップ(AFCランク15~28位に位置する国々のクラブが参加するAFC主催の国際大会)出場権が与えられる。
「AFCカップ出場権をとって、いままでさんざんお世話になっている永見さんに恩返ししたいんです」と笑顔で話す。