3つの守り方をしていたレアル
ブンデスリーガで好調のボルシア・ドルトムント、リーガ・エスパニョーラで不調のレアル・マドリー。しかし、勝ったのはアウェイのレアルだった。
この試合でレアルは主に2種類、いちおう3種類の守り方をしていた。
ドルトムントの4-3-3に対して、レアルのフォーメーションはイスコをトップ下に置いた4-4-2である。まず、立ち上がりの守り方は4-3-3だった。3トップは中央にイスコ、右にロナウド、左にベイル。ただし、この場合のイスコの任務はドルトムントの中盤底にいるシャヒンのマークだ。
この形の問題点は、ロナウドとベイルの両サイドである。高い位置へ進出してくるドルトムントの両SBに対して、ロナウドとベイルがしっかり守れるかどうか。キックオフ直後は忠実に守っていたものの、すぐに深追いはせずに攻め残るようになった。もちろんこれは想定内。
そこで2つめの守り方になる。ロナウドとベイルは深く戻らなくていい。モドリッチとクロースはそれぞれゲッツェ、カストロとマッチアップしているが、カゼミーロは余っている。ドルトムントのSBがフリーになっていたらモドリッチ、クロースがサイドへ出て守備をする。
彼らが捨てたMFはカゼミーロが拾う。3トップのプレスより相手を引き込む形になるが、引き込んだことで奪った後にはロナウドとベイルが裏をつきやすい。
3つめは、2つめと似ているがイスコがどちらかのサイドへ戻る形。モドリッチ、カゼミーロ、クロースのセットがボール方向へスライドし、空いた場所をイスコが埋める。
中盤をフラットにした4-4-2の守備陣形になる。レアルは主に2つめと3つめを使い分けながら守備をしていた。すべてに共通するのは、イスコが守備組織におけるキーマンだということ。
攻撃時は自由に動くイスコが、守備のときにどこに戻るかで全体の守り方も決まってくる。攻撃におけるイスコの自由を認めているので、守備のパターンが3つあるといったほうがいいかもしれない。