FC東京の最古参選手、今季限りでの現役引退を発表
9月9日のセレッソ大阪戦を1-4で落とした翌日、FC東京の篠田善之監督が解任された。すでに天皇杯、Jリーグルヴァンカップを落とし、J1優勝も遠のく中、2年連続のシーズン中の監督交代が行われたことに最も胸を痛めているのが、チーム最古参選手であり、今季限りでの現役引退を明らかにしている石川直宏かもしれない。
横浜マリノスジュニアユース追浜、同ユースを経て、2000年にトップに昇格した彼がFC東京に赴いたのは2002年4月。前年にアルゼンチンで開催されたワールドユース(現U-20ワールドカップ)での活躍を現地で目の当たりにした原博実監督(現Jリーグ副理事長)に熱望され、レンタル移籍することになった。
「僕が来た頃のFC東京はJ1昇格から間もなく、代表経験者もユキさん(佐藤由紀彦=同U-15むさしコーチ)1人くらい。みんなが一丸となって泥臭く諦めずに戦うのが、このクラブの伝統だったと思います。
その後、2004年、2009年のJリーグヤマザキナビスコカップ優勝などを経て、個人能力の高い選手が入ってくるようになり、佑都(長友=インテル)やモリゲ(森重真人)、ヨッチ(武藤嘉紀=マインツ)のように日の丸を背負う選手がいるのが当たり前になった。
そうやって時代もチームも変化する中、長く在籍した自分がピッチで『FC東京の伝統』を体現したいという思いはつねに抱いていました。でも2年前の8月2日のフランクフルトとの親善試合で左ひざ前十字じん帯を断裂してしまった。復帰を目指してリハビリを続けてきたけど、それが叶わないのが苦しかった。選手としては致命的でした。
そして今年の天皇杯でチームが長野パルセイロに負けた時、『もっと前向きな気持ちで新たな道を開きたい』と考え、引退を決断したんです。それでもシーズンはまだ続いているし、自分にはピッチに戻るという目標がある。それを目指して努力することで、チームに何かを残せればいい。そう思っています」と石川は率直な本音を打ち明けた。