輝きを取り戻したコウチーニョ。移籍騒動の影響はなし
23日のレスター対リバプールの試合を見て、やはりフィリッペ・コウチーニョは特別なタレントだと再認識した。
前半15分、リバプールの先制点はコウチーニョの絶妙なクロスから生まれる。左サイドでアルベルト・モレノとワンツー、折り返しで受けたボールを右足で素早くセットアップすると、すかさず右足を振り抜く。鋭いカーブのかかったボールは、ファーサイドへ走りこんだモハメド・サラーの頭にドンピシャリ。
角度のない位置からしっかりとヘディングシュートを決めたエジプト代表も称賛されて然るべきだが、それ以上にコウチーニョのクロスに感嘆した。蹴る前にほんの一瞬だけ顔を上げ、そこから繰り出した完ぺきなスピードと抜群のコントロールのボールは、目を見張るものだった。
その8分後。今度は自らのフリーキックで追加点を決める。中央左寄り、ゴールまで25mの位置から右足で放った球足の速いシュートは大きく曲がって、今度は横っ飛びした相手のGKキャスパー・シュマイケルの伸ばした右腕のさらに先をいき、ゴールネットに突き刺さった。
どちらも最近のプレミアリーグでは残念ながら見かける回数が少なくなった、正真正銘のワールドクラスのプレーだった。とはいえ、コウチーニョの存在感が光ったのは、ゴールとアシストをしたからという安易な理由ではない。
スペースの見つけ方や間合いの取り方、ボールを持っていないときのクレバーなランニング、ドリブルとパスのタイミングなど、総合的な判断力がピッチにいる誰よりも素晴らしく、図抜けていた。コウチーニョ同様に今夏中の移籍を切望し、一時はバルセロナも注目しているとされたレスターのリヤド・マフレズが、独善的なプレーばかりでことごとくリバプール守備陣に潰されているのとは好対照だった。
レスターの一員として先発出場して1得点した岡崎慎司も「コウチーニョとか、やっぱりレベルが高い」と脱帽し、『BBC(英国放送協会)』の人気のサッカー番組「マッチ・オブ・ザ・デイ」で、解説者のダニー・マーフィーも「ファイナルサードで繰り出すボールは非常にデンジャラスだ。だが私が好きなのは、彼の抜群のデシジョン・メイキング(判断力)。どこにでも顔を出すし、コウチーニョがいるリバプールには異なった側面が加わる」と褒め称えた。