サイドバックに巨額投資。チームの総合力もアップ
ジョゼップ・グアルディオラ監督の2年目となる今季のために、マンチェスター・シティがこの夏獲得した新戦力はバレンシアから復帰したエリアキム・マンガラも含め6人。うち3人がサイドバックという少し偏った補強であった。
シティは、イングランドを代表するサイドバックに成長したカイル・ウォーカー、フランス代表のバンジャマン・メンディ、そしてブラジル代表のダニーロという3人の大型サイドバックの獲得に、1億4000万ユーロ(約186億円)もの資金を使った。
このサイドバックの補強は近年のシティの課題のひとつであったDFラインの若返りを図るだけでなく、サイドからもゲームを組み立てて、ゲームを支配しようという指揮官の今季のプランが垣間見える。
DF陣の大型補強に加えて、ポルトガル代表のベルナルド・シウバの獲得にも成功した。昨季フランスリーグ優勝を果たしたモナコの主力であり、卓越したスキルを武器に鋭いスルーパスを前線に供給することができるポルトガル代表アタッカーである。
セルヒオ・アグエロ、ガブリエル・ジェスズ、ダビド・シルバ、ケビン・デ・ブライネ、レロイ・ザネ、ラヒーム・スターリングという強力なタレントからレギュラーの座を奪うのは難しいが、リーグ戦、カップ戦、CLと多くの試合が控えているため、出番は少なからず与えられるであろう。
指揮官肝入りで獲得したクラウディオ・ブラーボが期待を裏切ったGKには、ベンフィカで評価を高めたエデルソンを獲得。ブラジル代表経験を持つ若き守護神はセービングだけでなくビルドアップやカバーリングでも高い能力を発揮するモダンなタイプで、早くもレギュラーの地位を確固たるものにした。
シティによる今移籍市場における、大量の投資を行った効果はすでに出始めている。プレミアリーグ第4節のリバプール戦では、デ・ブライネのパスからアグエロが決めるセンターラインからの崩しに加えて、メンディによるサイドからの崩しも再三にわたって見られ5-0で大勝した。
一気に若返りを図った最終ラインには負傷を繰り返していたヴァンサン・コンパニが復帰し、健在ぶりをアピールしている。パワーアップしたサイドアタックに加え、タレント豊富なアタッカー陣による機動力を生かした多彩な攻撃は欧州屈指の破壊力を誇る。戦力の充実ぶりは明らかだ。
監督キャリアを通じて初めて無冠となった昨季は、指揮官にとっても悔しい1年だったはず。この2年で移籍市場に投じた資金は総額4億5000万ユーロ(約600億円)を超える。選択肢豊富な攻撃陣に加え、的確な補強を行った守備陣を要する今季はグアルディオラ監督にとっても勝負のシーズンとなる。