流れを決定づけた先制点。大きすぎたダメージ
横浜F・マリノスは9日、明治安田生命J1リーグ第25節で川崎フロンターレと対戦し0-3で敗れた。
序盤から試合の主導権を握ったのは川崎F。自慢のパスワークと積極果敢な守備で横浜FMを押し込み、14分に大島僚太のミドルシュートで幸先良く先制点を奪った。このゴールが「神奈川ダービー」のターニングポイントとなる。
中盤の底で先発出場した横浜FMの扇原貴宏は、やはり立ち上がりの対応のまずさと失点の場面を悔やんでいた。
「立ち上がりから自分たちが引きすぎてしまって、フロンターレ相手にリスペクトしすぎたというか。もうちょっと人にいかないといけなかったんですけど、本当に何もプレッシャーを与えることなく自陣ペナルティエリアまで来させていた。しっかりと積極的にやらなければいけないゲームだったんですけど、最初に失点してしまって、さらに苦しくなったので、本当に完敗かなと思います」
反対に川崎F側から見れば、序盤の先制ゴールは狙い通りの展開だった。川崎FのDF谷口彰悟は「(大島)僚太の1点目が本当に大きかった。たぶん相手のプラン、やり方的には前半0-0で我慢して、後半こっちが焦れたところでカウンターとかで点を取って勝つという流れだったと思う」と分析する。
先制点が重要になる、と川崎Fが考えたのはリーグ前半戦の神奈川ダービーで横浜FMに0-2で敗れていた教訓があったからでもある。前半を0-0で終えたものの、しっかりと守ったうえで後半に2得点を奪った横浜FMが勝ち点3をもぎ取った。
中村憲剛はこの試合での先制点の意味を誰よりも理解していた。「やっぱり失点をしていないということは、逆に失点をしたらダメージがある。そこを僕らは狙っていこう、マリノスだからこそ点を取ろうということを、みんなで立ち上がりからやれた」とチーム内での意思統一の成果を強調した。常に注目が集まる戦術のディテールだけでなく、試合の流れを心理的に支配することも勝利のために重要な要素だ。