異様な盛り上がりを見せていたフランス版クラシコ
それにしても、イベント満載のめまぐるしい試合だった。2-2のドローで決着がついたリーグアン第10節のマルセイユ対PSG、フランス版クラシコだ。
今回で92回目の対戦だが、盛り上がりようはこれまで以上にすごかった。21時開始の試合だというのに昼過ぎからスタジアム付近に人が集まりだし、3時間前には水色ジャージに身を包んだマルセイユのサポーターでぎっしり。
スタジアム前の道路は封鎖され、爆竹や発煙筒を投げるサポーターに、放水弾や催涙ガス噴射で応戦する警備隊と、両者による威嚇合戦が派手に繰り広げられた。
前回のマルセイユホームのクラシコは今年の2月だったが、そのときとはサポーターの熱気も発煙筒の量も断然違う。
宿敵PSGがネイマールやムバッペを迎えてグレードアップしたことで、より一層戦闘意欲がかきたてられたにちがいない。試合後の酒井宏樹の話では、この1週間、街ではこの試合の話題で持ちきりだったそうだ。
3日前に行われたヨーロッパリーグ第3節、ギマラエス戦では(2-1でマルセイユが勝利)、リュディ・ガルシア監督は酒井をはじめとする7人の主力を休ませ、このPSGに『必勝体制』で臨んだ。
選手たちの気迫、集中力も、いつもの試合の比ではなかった。2月の次第では、「攻撃的にプレーしてこそ勝機が生まれる!」のオープンプレーで挑んだ結果、開始6分に先制点を許し、1-5と惨敗した。その反省をいかし、今回はFWミトログルとパイエ以外の8人できっちりブロックを作って守備にも注力。強敵ネイマールには、フロリアン・トバンと酒井が協力体制で対峙した。
そして会場のサポーターの後押しと選手たちの熱のこもったプレーが、マルセイユに先制点をもたらした。パイエからのパスを敵陣の真ん中あたり、ゴールからおよそ30mの距離で受けたルイス・グスタボがそのままゴールを狙ってロングシュート。PSGの面々はよもや打ってくると思わなかったのか、完全に警戒を怠っていた。