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日本代表 7年前

【識者の眼】ハリルJ、“勝負師”の選手起用。歓喜を呼んだ指揮官の緻密なプランニング

日本代表は先月31日、ロシアW杯アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦して2-0で勝利。来年の本大会出場権を獲得した。長年のライバルを寄せつけず、完勝とも言っていい歓喜の背景には、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の緻密なプランニングと“勝負師”としての大胆な決断があった。(取材・文:河治良幸)

text by 河治良幸 photo by Getty Images

戦術が完璧に機能。選手交代も強気貫く

日本代表
井手口陽介、乾貴士、浅野拓磨(左から)の先発起用はハリルホジッチ監督の勇気ある決断だった【写真:Getty Images】

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は予選の最終局面となるオーストラリア戦で完璧なまでの戦略をやり通し、歴史的な勝利に導いた。[4-3-3]のインサイドハーフに山口蛍と井手口陽介、左右のウィングに乾貴士と浅野拓磨を起用した布陣には多くの人が驚きを隠さなかっただろう。

 しかし、ここまでの2年半で指揮官が植えつけてきたスタンダードを先鋭的に表現し、かつオーストラリアを苦しめるためのプランを遂行するには現メンバーでベストのチョイスだったと評価せざるをえない。

 山口と井手口の起用は相手の両ボランチに仕事をさせない意図が明確に表れていたし、そこからウィングとSBが積極的に3バックの脇を突く戦い方も多少のミスはあれ、戦略的にはパーフェクトに近い形で機能していた。

 しかし、それ以上に驚かされたのが後半の選手交代だ。

 1点を追いかけるオーストラリアのアンジ・ポステゴグルー監督は当然のごとく攻撃のカードを切ってきた。後半16分にジェームズ・トロイージに代えトミ・ユリッチ、後半25分にはトム・ロギッチに代えティム・ケーヒルを投入して実質4トップのような形になった。

 そうなると“パワープレー対策”に守備的な交替カードを切っていくのが定石だろう。しかし、ハリルホジッチ監督はスタートから左サイドで攻守に奮闘していた乾に代えて原口元気を投入し、サイドのプレッシャーとカウンターを再点火した。

「存在感はありますし怖かったですけど、ケーヒルが入っても放り込んでこなかったので、そこは助かったかなと思います。ヘディング強いですからね2人とも。だから中はけっこう落ちついていましたし、どこを抑えるかは明確にできた」(酒井宏樹)

 現在のオーストラリアは前線の枚数を増やしても、なりふり構わずロングボールを蹴ってくる可能性は低い。ならば日本も前からのプレッシャーを落とさずに起点を削っていけば、危険なボールがいきなり入ってくる危険は少ない。そうしたスカウティングからの決断が交替カードでも示されたのだろう。

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