過去と比べて異質。長友から漂うオーラ
無尽蔵のスタミナを武器に、怖いもの知らずの“火の玉小僧”のごとくピッチを暴れまわっていた岡田ジャパン時代の8年前とは、漂わせているオーラが明らかに違う。
セリエAの名門、インテル・ミラノの中心選手として積み重ねてきた実績と経験を、揺るぎない自信と重厚な風格に変えていたザックジャパン時代の4年前ともちょっと違う。
来月12日に31歳になる。8シーズン目を迎えたインテル・ミラノで、最古参選手になって久しい。日本代表のサイドバックとしては初めてとなる、国際Aマッチ出場100試合へもカウントダウンに入った。
ベテランと呼ばれる域に入っていることも、もちろん自覚している。そのうえで長友佑都はどこか達観していると表現してもいい、いい意味での余裕を周囲に与えている。
「過去の最終予選のほうが、僕的にはプレッシャーというものを感じていましたけどね。いろいろなことを経験できたことで、リラックスしながらいまはプレーできています」
オーストラリアがアジアサッカー連盟(AFC)へ転籍したのが2006年1月。岡田ジャパンとザックジャパンはともにアジア最終予選で同じグループとなり、ホームおよびアウェイで行われた4試合で長友はすべて左サイドバックとして先発フル出場した。しかし、結果は3分け1敗だった。
決勝戦で激突し、延長戦の末にアジア王者の座を勝ち取ったザックジャパン時代のアジアカップ2011では、0‐0の均衡を破るFW李忠成の左足ボレーによる決勝弾をアシストした。
一方で国内組中心のメンバーで勝利した2013年7月の東アジアカップと、3‐0で快勝したアギーレジャパン時代の2014年11月の国際親善試合には、ともに出場していない。
つまり、長友自身はオーストラリアにまだ90分間で勝利した経験がない。自身を含めた日本を何度も苦しめてきたストロングポイントに、しかし、新たな要素が融合されていると長友は警戒心を強める。
「オーストラリアはフィジカルが強くて高さもあると言われていますけど、いまの彼らはパスをつないでくるし、ほとんどロングボールを蹴ってこない。技術もしっかりしているし、もちろんフィジカルの強さや高さは変っていない。その意味では、なかなか難しい相手だと思っています」