グッズ売り上げは期待できなくとも…実戦的な2選手の獲得
3戦3勝。得点10・失点0。マンチェスター・ユナイテッドのスタートは、完璧といって差し支えない。GKダビド・デヘアの安定、2シーズン目を迎えたポール・ポグバ、ヘンリク・ムヒタリアンの充実もさることながら、新戦力のフィット感も好調の要因だ。
たしかにヴィクトル・リンデレフは出遅れている。監督としての実績が皆無のアラン・パーデュー(解説者)にさえ、「一対一は危なっかしくて見ていられない」と失笑される始末だ。しかし、ユナイテッドを率いるジョゼ・モウリーニョ監督にすれば、パーデューのコメントは片腹痛い。
「リンデレフはプレミアリーグのリズムに馴染むまでの時間を必要としているだけだ」と語り、とりあえずはリーグカップ、リザーブリーグなどを主戦場とし、実戦の勘を養う時間の猶予を与えている。
昨シーズン、ムヒタリアンのデビューを急がせて失敗した苦い経験を踏まえ、モウリーニョ監督は十分すぎるほど計算していた。パーデューはあらゆるクラブでノープランを指摘されてきた。逆立ちしたとしても、モウリーニョ監督の遠望深慮は分からない。
さて、リンデレフに限らず、鳴り物入りでプレミアリーグにやって来た外国人選手が、初年度に期待を裏切るケースは少なくない。リバプールのルイス・スアレス(現バルセロナ)をしても馴染むまでに一年以上かかり、アーセナルの黄金期を支えたロベール・ピレスも、「激しい当たりに耐えるからだを作るまでに2年ほどかかった」と述懐している。
環境適応力には個人差があり、スアレスやピレスの例が一概に当てはまるわけではないものの、言語や文化の違いはもちろん、どのリーグよりもスピードとフィジカルが求められるプレミアリーグに、即フィットするのは至難の業だ。
だからこそユナイテッドは、ロメル・ルカクとネマニャ・マティッチを獲得したのだろう。補強の優先順位では両選手とも一番手ではなかったが、ルカクはエバートンやウェストブロミッチ・アルビオンで、マティッチはチェルシーで確固たる地位を築き、プレミアリーグのリズムは身に染みるほど理解している。
関連グッズの売り上げが期待できるタイプではなく、より実戦的な2選手を獲得したということは、ユナイテッドの補強部門がついに目覚めた証だ。