インテル番記者の視点
「よう、本田はどうだ?」
22日のコッパ・イタリア準々決勝、ミランvsウディネーゼ戦の前で、あるベテランのイタリア人記者に声を掛けられた。チームの事情にも精通するインテル番で、長友にしっかりとプレーを見て評価したり、批判をするべき時も厳しくも冷静な言葉で書ける、信頼の置ける記者だ。
「時々ミランの仕事をすることもあるんだ」と語る彼は、ベローナ戦での本田の様子についておもむろに話しだした。
「良かったと思ったんだけどな。パスを展開する時はだいたい彼を経由していただろう。ピッチを俯瞰で把握出来ている様子も気に入ったよ。だから正直、私には解せないんだな。なんでみんな、本田のことをあれだけ悪く書いたんだ?」
本田はサッスオーロ戦の途中出場でバーを強襲するミドルを放ち、スペツィア戦では点も決めた。一方、ベローナ戦ではそれがなかった。直接ゴールを脅かすプレーがなかったので悪い評価につながったのではないかということは前回でも書いた通りだが、前述の記者のように、違う観点で評価をする人も中にはいるということだ。
シンプルなパスのつなぎでボールのキープ率を上げられる本田は、モントリーボとともに新たなチームの柱となり、セードルフ監督の志向するポゼッションサッカーには欠かせない存在となれる可能性がある。
しかしそのためには、チームとしても整備しなければならないことが山積みだ。本田がベンチに座っている間、ミランは優秀な若手が揃う実力派のウディネーゼを前に、再生に向けてたくさんの課題を露呈した。
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