プロの主観を可視化する。AIが秘める無限の可能性
近年、様々な分野で活用されているAI(人工知能)。日々研究が進み、進化しているAIではあるが、スポーツにおいてはどのような可能性が秘められているのだろうか。
既にスポーツの分野ではAIが取り入れられている。分かりやすいのは野球だ。例えば過去の膨大なデータを取得・分析することで、状況に応じてピッチャーの投げるボールの球種やゾーンを予測することができる。
日本では馴染みのない取り組みだが、新興メディア「SPAIA」がほかに先んじてAIを導入している。同メディアは野球から開始しており、近い将来全スポーツをAIによって解析・予想する。運営元の株式会社グラッドキューブの金島弘樹代表取締役CEOは「これからは情報提供だけでなく予想を楽しむ時代になる」とその意義を語る。
AIは無機質に思えるが、実際は少々異なる。その競技のスペシャリストや熟達者の知を次世代に伝えることも可能だ。プロの目線や技術データをAIに入れ込むことで、次世代の競技者へ何かしらの気づきを得る機会を提供することができる。
例えば、プロサッカー選手がボールを持った時と、ジュニア年代のサッカー選手がボールを持ったときでは、見ているスペースが違う。ジュニアがもうひとつ上のレベルへ到達するためには、プロがボールを持ったときにどこを見ているのか、そして何を考えているのかを効果的に知ることは重要である。
客観的データには表れないプロの主観(プロはその状況で何をしようと思ったか、頭の中でどのように選択肢の絞り込みを行ったか)は、スポーツをする上で重要な部分を占めており、そういった要素をSPAIAのAIが分析することで、次世代の競技者の技術力向上に繋がっていく。この主観を可視化することはAIの持つ大きな可能性のひとつである。