20世紀のクラブから21世紀のクラブへ
FIFAはレアル・マドリーを「20世紀のクラブ」として表彰した。55-56シーズンにスタートしたチャンピオンズカップ(現在のUEFAチャンピオンズリーグ)に優勝し、そのまま5回連続でビッグイヤーを独占している。ディ・ステファノ、プスカシュ、ヘント、サンタマリアといった錚々たるメンバーを揃えたオールスターチームだった。
2016-17シーズン、CL史上初の連覇を達成。4シーズンで3回の優勝は1950年代の黄金時代を彷彿させる成績である。この調子なら「21世紀のクラブ」もレアル・マドリーになるだろう。
強さの源泉は選手のクオリティーだ。その時代の最も優れた選手たちを集めてきた。ただ、補強は主にアタッカーであり、キャラ被りやポジションバランスなどお構いなしの傾向はある。
50年代の黄金時代には当時世界最高のプレーヤーだったディ・ステファノを擁しているのに、ランス(フランス)からコパを引き抜き、さらにブラジルの至宝ジジ、ハンガリーのスーパースターだったプスカシュとビッグネームを獲得し続けた。
「銀河系」と呼ばれた時代もフィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカム、オーウェン……補強というよりコレクションに近い。
現在の陣容も攻撃寄りに変わりはない。ベイル、ベンゼマ、ロナウドのBBCにアセンシオ、イスコがいて、昨季まではハメス・ロドリゲスとモラタまでいた。この夏の間にはムバッペ(モナコ)を獲得するという噂もある。
この過剰ともいえる戦力を率いる監督には、スター軍団をコントロールする手腕が求められる。これに失敗するとレアルでは生き残れない。選挙で選ばれている会長には絶大な権力があり、メディアの目も厳しい。
選手のほとんどには海千山千のエージェントもついている。火のないところにも煙が立つ、一筋縄ではいかない環境だ。選手をコントロールし、会長を黙らせ、メディアを制御するには、勝って勝って勝ちまくるしかない。