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欧州でゼロからのクラブづくり FCバサラマインツの挑戦【06】怪我人ゼロで試合を終わらせるために

日本代表・岡崎慎司が創設に携わったFCバサラマインツ。ドイツ11部リーグからスタートし毎年優勝、ドイツ9部に属する(今シーズンも優勝決定が決まり、来シーズンからはドイツ8部リーグに参戦)。チーム創設にはどのような想いがあり、そして、そこで働くスタッフは何を感じているのか。欧州でゼロからクラブをつくっていく様子を、現役スタッフが現地よりお伝えします(不定期連載です)。

シリーズ:FCバサラマインツの挑戦 text by FC Basara Mainz photo by FC Basara Mainz

日本ではあって当たり前のものがない!!ゼロからの環境作り。

バサラマインツ
チーム発足から3年連続優勝。来年度からは8部リーグへ参戦。【写真:FC Basara Mainz】

 前回の【05】チームドクターとしての活動内容に引き続き、チームドクターの藤原がお届けします。前回は特に公式戦前日でのメディカルサポートについてお伝えしましたが、今回は試合当日のメディカルサポートについてお伝えします。

 サッカーの試合ですから、もちろん戦うのは選手ですが、試合中メディカルスタッフがただ帯同しているだけかと言うとそうではありません。ウォーミングアップから選手の動きを見て、起こりうるリスクに対して備えます。

 簡単なことで言うと、試合中の水分補給です。ウォーミングアップやハーフタイムの時点で運動量が多く、汗の量が多い選手は、足をつりやすくなるのはもちろん、疲労から集中力が下がり怪我もしやすくなります。

 ドイツのアマチュアレベルでは、水分補給のために用意されているのは普通の水、しかも炭酸水がほとんどで、それでは発汗により失われた塩分を補給できず足をつる原因となります。

 バサラマインツも昨シーズンの加入当初は他のチームと同じく炭酸水だけしか用意されてませんでした。まずそういう当たり前のことから始めざるを得ませんでした。つり止めとして病院で使用するマグネシウムを含んだ錠剤を水と混ぜてドリンクを作り、必要な選手には半ば強制的に効果的な水分補給をするよう促していました。

 昨シーズン前半は試合終盤に足をつった選手がしばしば見られたのですが、今シーズンはだいぶ少なくなりました。

 医療の知識を現場で活かすことで、怪我のリスクが減り選手が安心してプレーできるようになります。キャプテンの日高は、マグネシウムの摂取、マウスピースの着用など怪我への対策を言われる前に自分で調べて行っていたので、こういう選手の存在はメディカルスタッフとしては頼もしい存在です。

 それでも選手全員が自分で対策出来ているわけではないので、時には口酸っぱく助言しています。アマチュアチームといえど、怪我の予防に関しては自分が選手自身に徹底させていかなければなりません。

【次ページ】選手の動きを観察

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