日本サッカーの課題。インテンシティー問題
22日、Jリーグがスペインのラ・リーガとの戦略提携協定を結んだことを発表した第二部のトークセッションでSDエイバルの日本代表MF乾貴士が口にした「インテンシティー」についてのコメントが複数のメディアで取り上げられた。
日本と欧州では練習からインテンシティーの差があるという認識をラ・リーガで2シーズンを過ごした乾は示し、論調としては「日本のインテンシティーは欧州と比較した時に低い(緩い)」というものであったが、果たしてこの差というのはどこから生まれて来るのだろうか。
国民性、文化、気候、など様々な要因が複雑に絡み合って生じている差ではあるが、敢えて言わせてもらえば大きな原因は「指導者」にあると筆者は認識している。
トークセッションで乾が説明した通り、エイバルのメンディリバル監督は練習中にある選手が削られても、削った選手を別に怒らない。それどころか「早く立て」と倒れている選手に厳しい要求を出すという。
悪意を持って削りにいくような選手が出ないように一定のコントロールとジャッジが必要であることは言うまでもないが、指導者が示す基準によって選手やチームのインテンシティーは高くもなれば低くもなる。
欧州トップレベル、世界と比べた時に「低い」と言わざるを得ないインテンシティーやハイプレッシャー下での技術発揮が日本サッカー界の長年の課題であった。14年ブラジルW杯での日本代表の敗退も重なり、ここ数年は育成年代の指導者も含めて日常の練習からインテンシティーを高める取り組みが増えつつあり、その成果は確かに目に見えるようになってきた。
Jリーグでも近年は、松本山雅FCの反町康治監督、湘南ベルマーレの曺貴裁監督がスプリント回数や走行距離で上位の数値を叩き出し、インテンシティーの高いサッカーと躍動感溢れるチーム作りを実現している。昨年末、反町監督を取材した際、次のような話しをしてくれた。
「インテンシティー、インテンシティーと言っても、練習でそれをやらなければ試合で出せない。日本代表がハリルホジッチ監督になって『デュエル、デュエル』と言っているけれど、それも練習から。試合でいきなりデュエルは強くならないから。
でも、日本の指導者はちょっと選手がぶつかるだけで止めるし、怪我を怖がって練習時間を短くしたり、スライディング禁止にしてしまう。それをやってしまうとインテンシティーもデュエルも生まれてこない」(フットボール批評issue14より引用)