香川負傷で狂ったプラン。辛くもドローに持ち込む
残り3試合となった2018年ロシアW杯アジア最終予選。勝ち点16を稼いでいる日本は、グループBの首位に立っている。しかし2位・サウジアラビアとは同勝ち点、3位・オーストラリアとは3ポイント差。この2チームとの直接対決がラスト2戦に控えているため、6月13日のイラク戦(テヘラン)は中立地開催といえども勝ち点3獲得が必要不可欠だ。
その前哨戦となったのが7日のシリア戦(東京)。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は3月のUAE戦(アルアイン)の再現を目論んで、同じ4-3-3の布陣で挑んだ。ところが開始早々の7分、香川真司(ドルトムント)が左肩を脱臼する予想外のアクシデントに見舞われる(編注:香川の症状は試合後にJFAから改めて「左肩関節前方脱臼」と発表され、8日午前中にチームからの離脱が決まった)。倉田秋(G大阪)との交代を強いられた。
「秋くんとは前もやっていたし、分かっていたのである程度、問題はなかった。ただ、真司くんとやるイメージを作っていたし、いろんなことを話していたんで…」と原口元気(ヘルタ・ベルリン)も戸惑いを口にしたように、チーム全体が受けに回ってしまう。
相手の縦への推進力や個の打開力に翻弄され、ボールを奪えず、ズルズル押し込まれる時間帯も続く。「相手のフィジカルが強く、出足もプレッシャーも速かった。前半はうまくいかなかった」と2ヶ月半ぶりに公式戦先発復帰を果たした今野泰幸(G大阪)も反省しきりだった。
前半消えていた久保裕也(ヘント)に代わって後半頭には本田圭佑(ミラン)が右FWに入り、流れが変わるかと思われた矢先にセットプレーの流れから失点。日本は一段と窮地に追い込まれる。それでも失点の10分後、長友佑都(インテル)の相手背後への鋭い抜け出しからのクロスに反応した今野がゴール。1-1に持ち込む。素早いリカバリーで同点に追いつき、日本は何とか踏みとどまった。
その状況で指揮官が打った次なる策が、切り札・乾貴士(エイバル)の投入と本田の右インサイドハーフ起用だった。原口に代わった乾が左FWに入るや否や、持ち前のキレのあるドリブルでシリア守備陣の綻びを突き始める。