どちらかが攻め始めると、しばらくその状態が続く展開
完成度の高い両チームの激突は、意外にもレアル・マドリーの圧勝に終わった。
ただし、試合内容はさほど一方的ではない。少なくとも前半は互角だった。興味深いのは、どちらかが攻め始めるとしばらくその状態が続いていたことだ。奪えないのだ。しばらくどちらかが押し込む時間帯があり、それが過ぎると攻守交代という展開だった。
10分をすぎたあたりからレアルがボールを支配した。ユベントスは立ち上がりこそハイプレスを仕掛けていたが、いったん引いている。自陣でボールを奪っても無理な速攻はやらなかった。
どちらもオールマイティなチームである。ハイプレスも引いて守ることもできて、速攻も遅攻もできる。唯一、ユベントスの懸念はレアルの速攻だったはずだ。DFのスピードがレアルのFWに対抗できないからだ。そこで、ユベントスの守備は裏のスペースを空けないことがポイントになる。また、無理に速攻を仕掛けて戦列が伸びてしまうのも避けたかった。
ところが、ユベントスはレアルにカウンターを食らって20分に先制点を許している。
ハイプレスでボールを奪い、ディバラとダニエル・アウベスのコンビで攻め込んだが逆に奪われる。レアルは自陣深くからパスをつなぎ、中盤で受けたクロースが1人かわしてドリブルで運ぶ。このクロースの持ち出しによって、一気に攻撃のギアが入っている。
クロースはベンゼマへつなぎ、ベンゼマから逆サイドのロナウドへ。後方からロナウドを追い越したカルバハルへつながれたボールは、ダイレクトでロナウドへ戻ってきた。ロナウドは、自分とカルバハルの2人を1人で守らなければならなかったキエッリーニの視野からそっと消え、カルバハルからのラストパスを待っていた。
注文どおりのカルバハルのパスを冷静に決めるロナウド。レアルの攻め込みは高速カウンターというほどではないが、ユベントスは最後まで受け身の状態だった。