ジダン監督の全てが詰まった決勝戦
16/17シーズンの欧州王者を決める一戦は、サッカーの歴史に新たな1ページを刻む結果となった。
これまで、「CLで連覇はできない」という言葉は通説となっていた。実際に現行の形となった92/93以降、94/95のミラン、95/96のアヤックス、96/97のユベントス、08/09のマンチェスター・ユナイテッドといった今も語り継がれる伝説的なチームが連覇に挑んだが、いずれも野望を果たすことはできなかった。
しかし、ついにその通説は破られた。ジネディーヌ・ジダン監督が率いるレアル・マドリーは、イタリアの絶対王者ユベントスを相手に4-1というスコアで勝利。大会史上初の連覇という偉業を達成した。
単純なクラブの規模で考えれば、マドリーは連覇を達成しても不思議ではない。しかし、過去には“大金を使いながらも勝てないチーム”の代表格とされてきた時代もあった。
そういった中で、ジダン監督はどのようにしてマドリーを連覇という偉業に導いたのか。このユベントスとの決勝戦にその答えは詰まっていた。
まず、スタメンを見ると、およそ100億円もの金額を費やしたベイルもハメスも不在。クリスティアーノ・ロナウドとベンゼマとともに攻撃を任されたのは、ここ最近抜群のパフォーマンスを続けているイスコだった。
そして、アンカーの役割を担うのはカゼミーロ。地味ながらも、中盤の底で徹底的に“邪魔をする”プレーは、相手にとってどんな強力な攻撃陣よりも嫌な存在でありジダン監督は就任以降、絶大な信頼を寄せている。
莫大な金額のスター選手をベンチに置くことも、代わりに地味な選手を選ぶことも、仮に別の監督だったら出来なかっただろう。
そして何より、ピッチで繰り広げられる戦いは、指揮官がジネディーヌ・ジダンでなければ、少なからず批判的な声が上がってもおかしくはないものとなっている。