序盤こそペースをつかむも…。後半に入り、あっさりと突かれた弱み
大会を通して3失点しかしていなかったユベントスが、決勝だけで4失点。いったい、どうしてこうなったのか。
序盤ユーベは、ペースをつかんではいた。速いパス回しでレアル・マドリーのチェックをかわし、さらに充実の中盤に捕まらないよう、ミドルパスをサイドに送り込む戦術で展開を動かし、シュートチャンスを作った。カウンターで先制点は奪われるが、そこからパワープレーを使ってマリオ・マンジュキッチの同点バイシクルへと流れを持って行っている。
「前半は素晴らしい内容だった。レアルに対抗するには運と、まさに前半でやっていたようなサッカーが必要だった」とマッシミリアーノ・アッレグリ監督は語った。レアル・マドリー陣営とてわざと引いて攻めさせていたわけでもなかったようで、「前半は自分たちも動きが硬く引きすぎた」とジネディーヌ・ジダン監督も語っている。
つまりこの試合のポイントは、後半開始から15分の間に一体何が起こったかにある。レアル・マドリーはユーベの弱みをあっさりと突いて押し込み、展開の脱出を不可能な状態に追い込んだ上で得点を重ねた。
まずは彼らは、後半の立ち上がりにユーベの右サイドを狙ってボールを放り込んだ。ここには、アンドレア・バルザーリがいる。カバーリングセンスも技術も高く、本職はCBながら器用にSBもこなすベテランだが、唯一の弱点はスピードがないことだった。そこに彼らはクリスティアーノ・ロナウドやイスコを代わる代わる走らせ、速いボールを送った。
これまでの試合ならば組織守備で十分対応できたところだったが、レアル・マドリーはパスのスピードが速いのでスライドなどの対応が追いつかない。前半から一段ギアをあげた展開のスピードは、もうユベントスに止められるものではなくなってしまった。