五大リーグでやりたいという思い。チャンスを獲らない理由はなかった
昨年8月、日本代表のGK川島永嗣はフランス・リーグ1のFCメスに入団した。
昨季もゴールを守ったクラブ生え抜きでフランスU21代表の成長株トマ・ディディヨン、昨年バックアッパーを務めたダビド・オーベルハウザーとすでにお抱えGKが2人いるところへ迎えられた川島だったが、4月18日に行われた31節のPSG戦でリーグ戦に初出場すると、35節のナンシー戦からは先発GKとして最終節までゴールを守り、37節のトゥールーズ戦ではPKもセーブ。来季のリーグ1残留にも貢献した。
控えGKというこれまでなかった経験からシーズン終盤に先発の座をつかんだ、ドラマティックな今季を振り返ってもらった。
―――まずは簡単にメスに入団した経緯からお聞かせください。
川島(以下K) 去年の夏は正直すごく厳しくて、ダンディーに残るオプションもあったけれど、自分としてはやはり1部でやりたい気持ちがありました。
いろいろ話が出たりする中で、一昨年もそうだったんですが、GKのマーケットはポジションがひとつしかない分なかなか動かないこともあって決まりそうで決まらない、という状況が続いていて、その中でたまたまこの話をもらって。
最初電話をもらったときには、「出る保証は正直ない、ただ、競争はある」と言われました。一番手、二番手はいるからと。
でも電話をくれた人から「お前なら競争に勝てるという気持ちがあると思うし、クラブはリーグ1でもやれる経験のある選手を探している」と聞いたので、それだったら挑戦したい、と。その場で「ここでやろう」と思いました。
―――最初に監督やクラブ関係者と顔合わせしたときの感触は?
K (実際に出られそうかという感触は)わからなかったですね。そもそもキーパーというのは(先発選手が)替わるポジションではないし、保証はまったくなかった。
今までベルギーとスコットランドでやらせてもらってきた間も、ずっとヨーロッパの五大リーグでやりたい、という気持ちでやっていたけれど、そのチャンスはなかなか得られなかった。
なので、保証はないけれどチャンスがあるよと言われたら、今まで自分が思い描いてきたところにたどり着くためのチャンスを獲らない理由はない、と。