決勝の相手とはケタ違いの経験値
5月27日に行われたフランス杯決勝をもって、今季のフランスリーグの幕は閉じた。そしてフランス最古のコンペティションであるこの大会の記念すべき100回目の勝者は、パリ・サンジェルマンに決まった。
3連覇を狙うパリSGに挑んだのはSCOアンジェ。ここ30年ほどはリーグ2常連だった彼らは、トップリーグ復帰後2年目にしてボルドーやギャンガンらリーグ1のライバルを倒してクラブ史上初の決勝進出を果たした。
しかし経験値はケタ違い。カタール体制になってからスタッド・ド・フランスで戦うカップ戦決勝はこの試合で6回目、過去5回はいずれも勝利と、パルク・デ・プランスに次ぐ『第2のホームグラウンド』で戦う感覚のPSGに対し、アンジェのメンバーでこの偉大なる国立スタジアムのピッチに立ったことがある選手は3人しかいなかった。
前日の会見ではアンジェのステファン・ムーラン監督も、「これはダビデとゴリアテの戦いだ」と、旧約聖書を引用して、“番狂わせ”を意味する発言をしていた。
しかし彼も「アンジェを応援する声が信じられないくらい届いている」と話したように、PSGサポーターと、おそらく彼らが優勝すればヨーロッパリーグ出場権がまわってくるリーグ6位のボルドーのサポーター以外は、皆がアンジェをサポートした、といっても過言でないほど、フランスのサッカーファンは世紀の『ジャイアント・キリング』に期待した。
しかして結果はアディショナルタイムのオウンゴールでアンジェが0?1で敗れるという痛恨のエンディングに。
PSGの右CKの場面でマテュイディと競り合って飛び上がった、ちょうどそのタイミングに体の一部にボールが当たったアンジェの右サイドバック、イッサ・シソコはアンラッキーだった。むしろ称賛すべきは、アンヘル・ディ・マリアが蹴った、ゴールに向かって弓なりに弧を描いた素晴らしい右CKだろう。