全員で喜びを共有するベネズエラ
グループステージ3戦全勝、10得点無失点。ベネズエラがU-20W杯で猛威を振るっている。そして日本の次なる対戦相手となった。
各ポジションにA代表経験のある実力者が揃っており、特に攻撃陣の破壊力は凄まじい。
日本戦翌日に20歳の誕生日を迎えるアダルベルト・ペニャランダは、この若さにしてイタリアやイングランド、スペインでプレー経験を持つ。今季後半戦はプレミアリーグのワトフォードから期限付き移籍でスペイン1部のマラガに所属していた。U-20ベネズエラ代表では左サイドからの崩しを一手に担う。
現在4ゴールを挙げてU-20W杯得点ランキング首位に立つセルヒオ・コルドバは、本来はストライカーながら右サイドで起用され、斜めのランニングで積極的にゴール前まで顔を出してフィニッシュに絡む。ラス・パルマスで将来を期待されるFWのロランド・ペーニャ、身長158cmと小柄な攻撃的MFジェフェルソン・ソテルドも非常に高いクオリティを備える。
だが、彼らのプレーよりも印象的なシーンがあった。26日のグループステージ最終戦、メキシコ相手に先制ゴールを挙げた直後、ベンチからも選手たちが飛び出し、全員で得点者のコルドバを囲んで喜びを爆発させた。
記憶をたどってみると、メキシコ戦の3日前に大田で行われたバヌアツ戦でも同じような光景が見られたことを思い出した。ピッチ上での攻守における11人の献身性はもちろん、全員で喜びを共有する様は、U-20ベネズエラ代表の団結力を象徴するシーンだった。
南米の代表チームについて議論する際、組織としての総合力よりも個の力について言及されることが多い。だが、今回U-20W杯に参加しているベネズエラの選手たちは個の力と組織力をバランスよく兼ね備えている。
団結力の秘訣について、メキシコ戦後の記者会見でU-20ベネズエラ代表を率いるラファエル・ドゥダメル監督に質問してみた。自身もベネズエラA代表で56試合に出場した経験を持つ名GKだった指揮官は、ゆっくりとした口調で噛みしめるように答えた。
「すべての勝利、すべての結果はコンパクトなチームとして戦わなければ得られなかった成果だ。このような高いレベルの大会で、個人で戦っても3連勝することはとても難しい。全員がそれぞれの役割を理解して、選手自身が代表チームに重要な一員であると感じられることが重要なんだ」