就任当初こそ懐疑論噴出も、就任後リーグ3連覇達成
「アッレグリ、クルバの下へ」。ユベントスが優勝を決めた21日のクロトーネ戦の直後、ユベントス・スタジアムのゴール裏のサポーターはマッシミリアーノ・アッレグリ監督を呼んだ。クラブはリーグ史上初の6連覇を達成、自身も就任後3連覇だ。
前任のアントニオ・コンテ(現チェルシー監督)からチームを引き継いだのが3年前。当時は懐疑論の方が大きかった。強烈なリーダーシップで3連覇をもたらした人物の後任として組織を引き継ぐことの難しさは、サッカーをよく知らなくても想像がつくところだろう。
さらにユベンティーノたちからは、ミラン時代の数々の因縁から露骨に嫌悪感を示された。「オレたちはアッレグリを望まない」などとチャントを浴びせられてもいた。
しかしアッレグリは、前任者の”遺産”をうまく生かしながら、自分の色を加えてチームをさらに成長させた。もともと3バックシステムをメインに使う指導者ではなかったが、コンテの築いたそれを受け継ぎ、かつ4バックも含めた複数のシステムの使い分けという新機軸を植えつけた。今季途中からは4-2-3-1のシステムのもと、攻撃的なタレントを多く起用しながら、組織守備も一層強固にした。
古参の選手と良い関係を築く一方、若手も主力として独り立ちさせた。試合では細かいところまで戦術を突き詰めて相手を攻略するが、選手のプレイにはある程度の冗長性も認めた。そんな采配に、選手たちはついてきた。現在レジスタを任されているミラレム・ピャニッチは「監督は色々と指導して、適切に修正してくれた。おかげで僕はもっと上達できた」と信頼を寄せる。
サッカーにおいては4-4-2や3-5-2などのシステムに選手をはめ込み、図式通りの動きをさせることが戦術だと理解されがちである。しかしアッレグリ監督はそこにとらわれず「重要なのはシステムや戦術上の図式ではなく、姿勢だ」と語る。彼のストロングポイントは、緻密な戦術眼と柔軟な発想を併せ持ち、選手を指導できるところにあるのだ。