「悪い意味の慣れは絶対に良くない」(丹羽大輝)
新宿・花園神社の裏手にある、株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシーの東京本部。テレビでおなじみの旧小学校の校舎を再利用した建物である。丹羽大輝はよしもととマネジメント契約を結び、昨年オフの東京滞在中、ここで時間を取ってもらった。
丹羽は自身の半生を振り返り、快活に話した。暖気運転など無用とばかりに、開始からフルスロットルだ。
ガンバ大阪ユースからトップに昇格し、3年間まったく試合に出られなかった――。
「悪い意味の慣れは絶対に良くない。くそっと思えなくなっていた自分に気づいたとき、このままではヤバい。最初に電流を流されたときの自分に戻らなあかん。そう思った」
2011シーズン、アビスパ福岡では惨敗の山を築き、J2に降格した――。
「自分が最大限の努力をして起こったことは確実にプラスになる。僕の場合は、アプローチをやり切った自負があるから、結果が出なかったとしても選択に後悔はない」
どんな球を投げても、丹羽はスパンッと打ち返してきた。
「毎年、毎月、毎日がターニングポイント」
「疲れないですよ。だいたい、疲れるというのは誰が決めたのか」
「眠くなったら寝て、起きたいときに起きる。それが僕の適正睡眠時間」
細長の会議室で小気味良い言葉は跳ね、ぽんぽん弾む。空気が大きくスウィングする。その場はすっかり丹羽に支配された。そして、やや困惑気味のこちらの顔を見て、丹羽はいたずらっぽく笑った。話の流れに乗った責任を引き受け、即興の絵まで描いた。サービス精神が旺盛なのだ。