名波監督が指摘する、柳沢や高原との違い
U-20日本代表のエースとして期待される小川航基だが、彼の最大の魅力とは何だろうか。
「ゴールバリエーションが豊富」
名波浩監督は新星の能力を認めているが、その得点感覚は特筆すべきだろう。右足、左足、頭と小川から放たれるシュートは常に可能性を感じさせる。こぼれ球に反応するための準備動作も洗練されてきた。今シーズン、JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第3節・FC東京戦でハットトリックを記録したことからもわかるように、本格的に公式戦に絡む中で、本人が渇望し続けた『結果』も出ている。
リーグ戦でのスタメン出場はまだないが、第9節のコンサドーレ札幌戦では前半途中に投入されると、川又堅碁と2トップを組んだ。堅い守備を持つ札幌の3バックの陣形を広げる、もしくは下げさせるといったプレーを実行。相手に脅威を与え、チームに流れを引き寄せた。84分には、巧みにボールをキープした川又からラストパスを受けると、右足を一閃。逆転ゴールが決まったかに思われたが、シュートは惜しくもクロスバーに嫌われた。
「柳沢(敦)や高原(直泰)と違うのは、まだボックスの中で力んでしまうこと」
名波監督はこのシーンについて、小川と同じく高卒でプロの世界に飛び込んだFWを引き合いに出してこう話した。W杯にも出場した日本サッカー界のレジェンドとの差は小さくないが、そうした面々との比較自体に、背番号18への期待を感じさせる。
確かにフィニッシュは力が入り過ぎたが、この攻撃は小川のポストプレーから始まっていた。味方と絡みながら『仕上げの局面』を生み出したことには価値があるだろう。
高卒2年目のストライカーは磐田の戦力として稼働しつつある。そして、公式戦に出場することで改めて見えてきたものもあるという。