元ブラジル代表FWロナウドをも彷彿とさせるポテンシャル
フランスのサッカー史に名を残すスーパースターの誕生か?
チャンピオンズリーグ準々決勝で、ASモナコはドルトムントを破ってベスト4進出を決めた。アウェイの1stレグ、ホームの2ndレグの両戦で先制点を挙げて自陣に好ペースを引き寄せたのが、弱冠18歳の新星キリアン・ムバッペだ。
CL決勝トーナメントの4試合で5得点。これまで、ラウンド16以降で彼より多くのゴールを決めたフランス人選手は、ベンゼマ、アンリ、ジダン、ウィルトール、トレゼゲ、リベリーの6人しかいない。しかもムバッペは、まだプロデビュー2年目の18歳だ。
驚異の新人の登場である。
彼の強みは圧倒的なスピード。マッチアップするディフェンダーには走り負けることはまずない。そしてゴール前で冷静にチャンスをものにする決定力の高さ。さらにもう一つ特筆したいのが豊富な運動量だ。左サイドの定位置から、ときには右サイドや自陣深い位置まで下がってボール奪取に奔走するが、次の瞬間にはもうゴール付近まで詰めている。
「いつの間にあそこまで!?」と驚かされる卓越した運動能力。まるでピッチ上にムバッペが2、3人いるかのような、まさに”ユビキタス”なプレーヤーだ。
ラウンド16・2ndレグのマンチェスター・シティ戦では開始2分、そしてドルトムントとの2ndレグでも開始8分と、ムバッペはキックオフ間もない時間に先制点を決めたが、これらの得点がチームに与えた影響は計り知れない。
「自分たちが優勢」と強気で戦える舞台をチームのためにお膳立てしたのは、最年少プレーヤーだった。
ドルトムントをモナコで観戦していた元フランス代表監督のレイモン・ドメネクも、「彼を見ていると、98年のワールドカップで活躍したロナウドを思い出す」と、ムバッペがかの”フェノメーノ”級のポテンシャルを秘めた選手であると語っている。