“強いモナコ”は今季で見納め? 小国らしいのっぴきならない事情
ASモナコがボルシア・ドルトムントを2試合合計6-3(1stレグ:3-2、2ndレグ:3-1)で撃破してUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ベスト4進出を決めた。準決勝も勝ち抜けば、2004年以来のファイナルとなる。当時の監督はディディエ・デシャン、中心選手はリュドビク・ジュリ、ジェローム・ロテン、パトリス・エヴラなど。そのとき以来久々の“強いモナコ”だ。
04年の後もそうだったが、今の“強いモナコ”も今季限りで見納めになるかもしれない。あのときと同じように、主力の何人かはシーズン終了後に移籍すると予想されるからだ。モナコはフランスリーグの名門だが、最も不人気なクラブで財政基盤が弱い。
不人気というのは可哀想なので補足すると、ホームスタジアムのスタッド・ルイ・ドゥは収容約1万8000人と、CLに出場するようなクラブとしては例外的に小さい。地元ファンが少ないからだ。04年に取材に行ったときのデータだが、モナコの就労人口はわずか3%だった。モンテカルロで働いている人の大半は近隣のニースなどから通勤してくる。
サッカーを応援するファンは実はモナコ公国民ではなく、隣国フランスの人々なのだ。ファンが少ないので現在の規模で十分まかなえてしまう。筆頭株主がロシア人のディミトリ・リボロフレフになった2011年から資金繰りが良くなったとはいえ、主力をすべて残留させるのは無理だろう。
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