先制ゴールを奪い、PKを得たバイエルンだったが…
巨人と巨人のぶつかり合いは、我慢比べのようだった。
現地時間12日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝の1stレグで、ドイツの“赤い巨人”バイエルン・ミュンヘンとスペインの“白い巨人”レアル・マドリーが激突した。
先手をとったのはホームのバイエルン。25分、コーナーキックにアルトゥーロ・ビダルが頭で合わせて先制ゴールを奪った。しかし、ここからの“赤い巨人”はまるでぬかるんだ地面に足を取られて沈んでいくかのようだった。
前半アディショナルタイム、フランク・リベリーのシュートがダニ・カルバハルの腕に当たったと判定され、バイエルンにPKが与えられる。キッカーは先制弾のビダル。右足を思い切り振りぬいた一撃は、ゴールのはるか上へと消えていった。
後半開始直後にバイエルンはクリスティアーノ・ロナウドのゴールで追いつかれる。さらに61分、ハビ・マルティネスが、C・ロナウドに不用意なタックルを見舞い、2枚目の警告を提示されて退場。負傷したマッツ・フンメルスの代わりに先発したスペイン人CBは、わずか3分間で2枚のイエローカードを受けてしまった。
ここで10人になったことで、試合のすう勢はほぼ決まってしまった。“赤い巨人”が泥沼の深みにはまっていくのを横目で見つつ、“白い巨人”は勝利への道を確実に進んでいく。シュート本数11対22、枠内シュート数3対12というスタッツが示す通り、あまりに対照的な一戦だった。
バイエルンにとって最初の痛手は、絶対的エースのロベルト・レバンドフスキを肩の負傷で起用できなかったことだろう。代わりに不慣れな最前線に入ったトーマス・ミュラーも負傷明けで万全ではなく、今季のリーグ戦でわずか4ゴールという成績を考えればマドリーにとって怖い存在ではなかったはずだ。
フランク・リベリーとアリエン・ロッベン、通称“ロベリー”の両サイドを封じることができればバイエルンの攻撃のほとんどを抑え込める。絶対的エース不在の試合で、マドリーはそれだけを考えればよかった。