ほんのわずかながら、チームの勝利に貢献できた感触
ほんのわずかながら、それでもチームの勝利に貢献する大仕事に関われた感触が右足のつま先に残っている。鹿島アントラーズのルーキー、18歳の安部裕葵がはにかみながら胸を張った。
「ああいう小さなことがゴールにつながるんだと、あらためて実感することができました」
大宮アルディージャのホーム、NACK5スタジアム大宮に乗り込んだ1日のJ1第5節。両チームともに無得点の状況でピッチに投入され、公式戦デビューを果たしてからわずか5分後の後半34分だった。
ボールをもったアルディージャのセンターバック、河本裕之がセンターサークル付近にいたMF岩上祐三へ縦パスを入れる。距離は空いていたが、それでも安部は猛然とパスコースに飛び込んでいった。
「それまでは僕たちがずっと引き気味だったので、急に前からガーッとこられたら相手も嫌だろうなと思っていました。タイミングさせ合えば、どこかで奪ってやろうと狙っていたんですけど」
必死に伸ばされた安部の右足のつま先をかすめ、微妙にコースを変えたボールはMFレオ・シルバの正面へ。すかさずパスを受けたFW鈴木優磨のアシストから、MF土居聖真の値千金の決勝弾が生まれた。
出番が訪れる予感を抱きながら、ウォーミングアップを続けた。横浜F・マリノスとの第3節に続く2度目のベンチ入りを勝ち取ったが、このときはサイドハーフの控えという位置づけだった。
翻ってアルディージャ戦は右足首を痛めたFW金崎夢生の欠場に伴い、リザーブメンバーのなかでフォワードは安部しかいない。自らの役割をイメージしていたからこそ、スムーズに試合に入れた。