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レスター、完全復活の要因。CL8強進出にリーグ戦も連勝。岡崎が語る超守備戦術からの「解放」

昨季のプレミアリーグで奇跡の優勝を果たしたレスター・シティ。しかし今季は残留争いを演じ、優勝に導いたクラウディオ・ラニエリ前監督は解任の憂き目にあった。それでもレスターはリーグ戦で2連勝を収め、クラブ史上初のチャンピオンズリーグでもセビージャを下して準々決勝に進出するなど完全復活を遂げている。これまでラニエリ前監督のもとで守備的な役割を与えられていた日本代表の岡崎慎司も、「解放された」と振り返っている。(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

遅すぎたラニエリの解任。疑問残る采配でチームは残留争い

ラニエリ
解任されたクラウディオ・ラニエリ前監督【写真:Getty Images】

 2月23日の夜。ついに待っていたニュースが報道された。

「レスター、クラウディオ・ラニエリ監督を解任」

 すでにこのコラムでは何度も触れてきたが、今季のラニエリ前監督の采配については、疑問ばかりが浮かんでいた。選手起用と戦術的な観点からは古さばかりが目立った。さらに言えば、昨季はマンマネジメント力やモチベーターとしての資質が高い評価を受けたものの、翻って今季は、選手の求心力となるべきマネージャーとしての能力の面でも限界のように映った。

 それだけに、今回の人事は個人的には遅すぎると感じた。もともと筆者の持論は、「新監督には最低でも2年、願わくば3年を与えてあげるべき」というもので、結果がでなければ即解任という現在のサッカー界の風潮には嫌気が差している。しかし盲目的にこれをするのではなく、時間の猶予を与える際には“最低限の結果を残しつつ、将来的に向上していく可能性を感じさせるのであれば”という条件も付けるべきだとも思う。

 開幕から7か月が経過していたが、イタリア人の老将がプロデュースするサッカーに可能性を感じていたかと聞かれれば、答えは「ノー」だった。しかもそのノーには“絶対的な”と付け加えたい。

 2016年の最終戦となった12月31日のウェストハム戦で1-0と勝利し、特に前半は昨季のレスターを垣間見るプレーぶりだった。だがその2日後、イングランド北東の寒空のなかで行われたミドルズブラ戦は、0-0の引き分けで終了したとはいえ、目を覆いたくなるほどのパフォーマンスだった。相手は降格候補筆頭ともいえるチームで、指揮官のアイトール・カランカはホームであってもまず守備ありきのスタイルのサッカーを好む。

 そんなボロ(ミドルズブラの俗称)を相手に、ラニエリ前監督は中盤に3ボランチを配し、岡崎にはトップ下とは名ばかりの守備的なタスクだけを課した。前節ウエストハム戦で久々に勝利を挙げ、後半戦に向けてチームに勢いを取り戻すべき状況だったが、終始守備的なプレーを最優先して、さらに試合後の記者会見では「勝ち点1を取れて嬉しい」とのたまった。

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