遅すぎたラニエリの解任。疑問残る采配でチームは残留争い
2月23日の夜。ついに待っていたニュースが報道された。
「レスター、クラウディオ・ラニエリ監督を解任」
すでにこのコラムでは何度も触れてきたが、今季のラニエリ前監督の采配については、疑問ばかりが浮かんでいた。選手起用と戦術的な観点からは古さばかりが目立った。さらに言えば、昨季はマンマネジメント力やモチベーターとしての資質が高い評価を受けたものの、翻って今季は、選手の求心力となるべきマネージャーとしての能力の面でも限界のように映った。
それだけに、今回の人事は個人的には遅すぎると感じた。もともと筆者の持論は、「新監督には最低でも2年、願わくば3年を与えてあげるべき」というもので、結果がでなければ即解任という現在のサッカー界の風潮には嫌気が差している。しかし盲目的にこれをするのではなく、時間の猶予を与える際には“最低限の結果を残しつつ、将来的に向上していく可能性を感じさせるのであれば”という条件も付けるべきだとも思う。
開幕から7か月が経過していたが、イタリア人の老将がプロデュースするサッカーに可能性を感じていたかと聞かれれば、答えは「ノー」だった。しかもそのノーには“絶対的な”と付け加えたい。
2016年の最終戦となった12月31日のウェストハム戦で1-0と勝利し、特に前半は昨季のレスターを垣間見るプレーぶりだった。だがその2日後、イングランド北東の寒空のなかで行われたミドルズブラ戦は、0-0の引き分けで終了したとはいえ、目を覆いたくなるほどのパフォーマンスだった。相手は降格候補筆頭ともいえるチームで、指揮官のアイトール・カランカはホームであってもまず守備ありきのスタイルのサッカーを好む。
そんなボロ(ミドルズブラの俗称)を相手に、ラニエリ前監督は中盤に3ボランチを配し、岡崎にはトップ下とは名ばかりの守備的なタスクだけを課した。前節ウエストハム戦で久々に勝利を挙げ、後半戦に向けてチームに勢いを取り戻すべき状況だったが、終始守備的なプレーを最優先して、さらに試合後の記者会見では「勝ち点1を取れて嬉しい」とのたまった。