署名活動に奔走した日々。エスパルスの前例
川淵さんとお会いした時に心に残ったのが「たくさんの署名が集まって民意が結集したら、もしかしたら何かが変わるかもしれない」という言葉でした。
それを聞いて、「やっぱり署名か!」って思いましたね。それからは必死で、署名集めに奔走しました。エスパルスサポの友だちから「1枚の紙に10人分の署名が書けるようにすると、集計する時に楽だよ」って教えてもらいました。
前の年(97年)、エスパルスも運営会社(エスラップ・コミュニケーションズ)が経営危機になって、サポーターが署名活動していたんですよ。ですので、彼からはいろいろ参考になるアドバイスをもらいました。
署名活動に関しては、それまで仲違いしていたTIFOSIとも協力してやっていましたね。応援のやり方では意見が対立していましたけど、署名に関しては統一のルールを決めて連携をとることができました。
他サポの仲間たちも「俺たちのところでも集めるから(署名用紙を)FAXしてくれ」と言ってくれて。私たちも、自分たちの試合ではない会場で署名集めをやっていましたね。
試合がある週末は、応援するグループと署名を集めるグループに分かれて活動していました。あの時は、どちらもサポにとって大事な「仕事」でしたから。
スタジアム以外でも、本当にいろんなところでやりましたね。たとえば原宿とか。たまたま知り合いに原宿の商店街理事の人がいて、竹下口を出たところの小さな場所を「ここだったら迷惑かからないからやってもいいよ」ということで、ユニフォームを着て署名集めを始めたんですよ。そしたら、普段サッカーを観ていないような若い子たちが集まってきて、一気に行列ができましたね。
それと私、当時は住所や電話番号をネットなんかで晒していたので、自宅に署名を送ってくれる人もいました。名古屋方面から送られてきた署名は、明らかに子供の字で「楢崎(正剛)選手がんばれ」とか書いてあって、ちょっとジンときましたね。