Jリーグのシーズン幕開けとなる、富士ゼロックススーパー杯の前座試合として『NEXT GENERATION MATCH U-18 Jリーグ選抜 VS 日本高校サッカー選抜』が18日に開催された。
中でも注目を集めたのは、U-18 FC東京所属のFW久保建英であったことは言うまでもない。昨年「中学生Jリーガー」として注目を集め、U-17世代でありながらU-20日本代表にも飛び級で選出された。今大会でも、U-18 Jリーグ選抜として招集されたメンバーのうちのほとんどが高校二年生であるため、唯一の中学生である久保は最年少での招集となった。
彼がこれからの日本サッカーを担っていく存在であることは間違いないが、まだ中学生でありフィジカル的にはまだまだ成長段階。そんな育ち盛りの久保を飛び級で試合出場させることを、危険視する声も挙がっている。
フットボールチャンネルが制作するウェブ番組『F.Chan TV』に出演したサッカー解説者の永島昭浩氏は、久保のプレーを「持っている技術の高さに加えて、多くの選択肢の中で『ここが一番相手にとって嫌だ』というところにパスできる能力がある」と評価する。
しかし、久保の現状については「彼に任せきりで全然(周りが)サポートしなければ、フィジカルの強い相手には通用しない」と語った。そして、J3に参戦しているFC東京U-23での昨季の試合の様子については、「そのへんのサポートがあまり無い場面が多い」と指摘した。
今大会は高校選抜に終始圧倒され、終わってみれば4-0の完敗で幕を閉じた。黒田剛監督が「全員守備」を徹底させた結果、久保建英、中村駿太らJリーグ選抜攻撃陣に仕事をさせなかった。
高校選抜の激しい守備で封じ込まれてしまったJリーグ選抜だが、ひとたび久保がボールを持つと華麗なボールタッチでチャンスを演出し、会場を沸かせる。「久保に任せよう」というよりはむしろ「久保を活かそう」という意識が感じられた。
久保と共に2トップを組んだFW中村駿太(柏レイソルU-18)は試合後、「彼(久保)の良さを引き出せず残念」と語った。しかし、この言葉からはJリーグ選抜がチーム全体で「久保を活かす」ことを共通認識として持っていたことが伺える。
昨季、J3で3試合に出場した久保建英だが、彼のプレーの”真骨頂”が見られたかといえば、疑問が残る。しかしこの試合を通して、Jリーグ選抜が「久保に任せる」ではなく「久保を活かす」という意識を選択したことは、今季の久保にとってプラスとなるはずだ。
FC東京U-23がJリーグ選抜と同様に久保を「活かす」意識を持てれば、今季はJ3で更なる飛躍を遂げられるかもしれない。
(取材・文:浜川絵理)
※永島昭浩氏出演の『F.Chan TV』は以下にてご覧いただけます。
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