黄色い壁が消え失せたジグナル・イドゥナ・パルク
ドルトムントの香川真司【写真:Getty Images】
2017年2月18日のブンデスリーガ第21節、ボルシア・ドルトムントはホームにヴォルフスブルクを迎えた。
ドルトムントは4日のライプツィヒ戦におけるサポーターの無秩序な行為に対するDFB(ドイツサッカー連盟)の処分を受け入れ、南側スタンドが閉鎖された。“黄色い壁”が消え失せたことで、ジグナル・イドゥナ・パルクは親善試合のような空気に包まれた。
トーマス・トゥヘル監督は「ゲームには奇妙な感覚があったね。でも雰囲気は依然として良かった」と振り返る。ベンチスタートの香川真司も「いやもう練習試合の雰囲気があって、前半は特に。ちょっと違和感はありましたけど」と感じた。
しかしながら、「練習試合の雰囲気」に飲み込まれたのは、処分を受けたホーム側のチームではなく対戦相手だったようだ。ヴォルフスブルクは守備的な[5-3-2]の布陣で構え、かつ右CBのブルマがマンツーマン気味でデンベレに付いた。序盤は攻めあぐねたドルトムントだったが、22分のブルマのオウンゴールを皮切りに、敵は次第に戦意を失っていく。ドルトムントは選手同士の距離感が良く、守備がハマり、ポゼッションを高めていった。
48分には、デンベレが手前からエリア内に入れたボールを、ピシュチェクが難なくヘディングで押し込んで追加点。59分にはピシュチェクの右からの折り返しをデンベレも少しぎこちなくヘディングで簡単に押し込んだ。GKベナーリオはなす術もなくボールを見送るしかなかった。
「今日は相手がよくなかった。試合を放棄していた感じでしたね」
そのようにゲームを見ていた香川が投入されたのは、73分のことだ。スコアは3-0。ヴォルフスブルクは死に体だった。香川によれば、こういった場合のシチュエーションの捉え方は、選手次第になるという。
「まぁ、考え方なんですけど、3-0で試合が決まった中で、そういう展開で出されるのかという考え方と、そういう中でも自分を表現するんだという考え方ではすごく差があると思うし。もちろん選手としての本望は最初から出て、そういうシビアな戦いの中で結果を残せることが何より望ましいことですけど、ただ、今は途中出場でもやらなきゃいけないと思っているし、いい準備は出来ていたと思っています」