体を追い込んだ状況で、何ができるか
鹿児島キャンプも終盤に差し掛かり、選手たちの疲労も溜まっている。1年を戦い抜くためにはこの時期に体を追い込む必要がある。言いかえれば『疲れている』という事実は―それが勝利を担保してくれるわけではないが―来たるシーズンへの貯金となる。
始動日から磐田市内での約2週間のトレーニングを第1フェーズ、鹿児島入りからの1週間を第2フェーズとすれば、これらの期間はインターバル走などフィジカルメニューが中心だった。そしてニューイヤーカップが開幕した5日からは、試合の中で各々の体の状態やチームとして何ができるのかを確認する作業となる。
「身体がしんどいから動けなかったとしても、例えば声が出ているとか頭は回っているとか、そういうものがあれば許される時期だと思う」
初戦の熊本戦の前日、名波浩監督は選手たちのコンディションを鑑みてこんな話をしている。やるべきことを実践するのはもちろん大事だが、できなかった理由に正当性があることの方が重要だった。
3バックで臨んだ前半は、トップ下に入った中村俊輔が攻撃を牽引するなど見せ場を作った。後半から4バックにシフトし、新10番がベンチに退いた後は期限付き移籍3年目を迎えた川辺駿が責任感のあるプレーで存在感を発揮した。
チームは79分に失点し、1-1のドローで終えている。同点ゴールはあっさりと献上した印象だった。センターライン付近でボールを持った相手にプレスがかからず、易々と自陣左サイドにボールを通される。そして、グラウンダーのクロスを押し込まれた。