国内二冠も積極補強の理由
2016シーズンの終盤戦に無類の勝負強さを発揮して、J1年間チャンピオンと天皇杯の国内二冠を獲得した鹿島アントラーズがこのオフ、近年になく積極的に新戦力を補強している。
すでにFWペドロ・ジュニオール(ヴィッセル神戸)とMFレオ・シルバ(アルビレックス新潟)のブラジル人コンビ、FW金森健志(アビスパ福岡)、DF三竿雄斗(湘南ベルマーレ)が完全移籍で加入することが決定。12日にはブラジル代表歴をもつ23歳のアタッカー、レアンドロ(パルメイラス)が期限付き移籍で加入することも発表された。
積極補強の背景には、現状に対する危機感がある。2016シーズンはファーストステージを制し、最終的に二冠を達成したとはいえ、セカンドステージでは11位に低迷。連覇がかかったYBCルヴァンカップ(前ヤマザキナビスコカップ)でも、グループリーグで1勝しかあげられずに姿を消している。
強化部長職に就いて今年で22年目を迎えたアントラーズの生き字引的存在、鈴木満常務取締役は現時点におけるチーム状態をこうとらえている。
「天皇杯決勝までの1ヶ月ちょっとは素晴らしいサッカーをして、タイトルも2つ取ることができた。すごく成長している部分はあるけれども、ひとつサイクルが乱れるとセカンドステージやYBCルヴァンカップのようなサッカーになりうるチームだと思っている」
特に本当の意味での実力が問われるリーグ戦における勝ち点を見ると、3連覇が途切れた2010シーズン以降は「60」が最多となっている。一時期の低迷状態からは脱出したとはいえ、2016シーズンも「59」で年間勝ち点1位の浦和レッズの「74」、同2位の川崎フロンターレの「72」に大差をつけられた。
実際、天皇杯決勝後にはディフェンスリーダーの昌子源も「チャンピオンシップを取った勢いでここまで来られたけど、なかったら本当に難しいシーズンだった」と偽らざる胸の内を明かしてもいる。再び1ステージ制へ戻る2017シーズンへ向けて、鈴木常務はこんな青写真を描いている。
「そこ(勝ち点60)の壁を打ち破れないでいる状態から、チーム内の競争をもっと激しくするような補強をして、昨シーズンのように上手くいけば勝てるチームではなくて、力で勝てるチームを目指していきたい」