決勝ゴールを挙げた川崎Fの谷口彰悟【写真:Getty Images】
【大宮アルディージャ 0-1 川崎フロンターレ 天皇杯準決勝】
天皇杯準決勝が29日に行われ、ともに初めての決勝進出を目指す大宮アルディージャと川崎フロンターレが対戦した。
大宮は準々決勝に続きコンディションが万全でない家長をベンチスタートとする。川崎Fも負傷明けの大島をベンチに座らせ、3バックで試合に臨む。
ボールを持つ時間こそ長い川崎Fだが、大宮の的確な守備を前に中央のスペースを使えず攻めあぐねる。一方の大宮も攻撃陣がフィニッシュの局面で精度を欠きゴールを奪えない。
流れの悪い川崎Fは前半途中でシステム変更を決断する。左ウィングバックの車屋をサイドバックに下げ、田坂を右サイドバックに据えた4-4-2にシフトして仕切り直しを図る。それでもなかなかゴールに近づけず、両チームともスコアレスで前半を終えた。
後半に入って50分、大宮がこの試合最大のチャンスを迎える。中央で江坂が粘り、走り込んできた味方へスルーパス。お膳立てを受けた泉澤のシュートはポストに阻まれたが、こぼれ球にムルジャが詰める。しかし、決めるだけだったシュートをミートできずゴールはるか上に飛ばしてしまった。
川崎Fは後半になってもパス回しのテンポが悪く、リズムを掴めない。61分には登里を下げて大島を投入して状況の打開を試みる。しかし、攻撃が要所で噛み合わず大宮から主導権を奪い返せない。
大宮は64分に前半から圧巻のスピードと強靭さでサイドを疾走していたマテウスに代えて家長を送り出す。チームの攻撃を1年間支えてきた家長は左サイドでタメを作りながら攻撃を組み立てていく。それでもゴールが遠い。
風間監督とともに悲願のタイトルを獲得したい川崎Fは79分、持ち味を消されていた小林を下げて三好を投入。中盤に上がっていた田坂を右サイドバックへ戻し、エウシーニョを再び一列上げる。そして三好を左サイドに配置した。
すると三好が仕掛けてペナルティエリア手前でファウルを受ける。中村が蹴ったフリーキックはGK塩田にセーブされたが、直後にドラマが待っていた。85分、コーナーキックのこぼれ球にエドゥアルドが競ると、ゴール前に詰めていた谷口が押し込んで待望の先制ゴール。流れをつかめず苦しんでいた川崎Fが終盤に先手を取った。
先制された大宮は菊地を前線に残してパワープレーに出るが、川崎Fのゴールを割れず。試合を通してチャンスをフイにし続けたのが最後まで響いてしまった。苦しい戦いを制した川崎Fは、鹿島アントラーズが待つ元日の決勝へ駒を進めた。風間フロンターレは有終の美を飾るべく、クラブ史上初のタイトル獲得に挑む。
【得点者】
85分 0-1 谷口彰悟(川崎F)
【了】