ときどきのレアル、いつもの鹿島
すべてのポジションに世界最高クラスの選手を揃えて、「どうだ強いだろう」というのがレアル・マドリーというチームである。
選手たちのプライドは山よりも高く、タイトルと名のつくものはすべて獲って当たり前だと思っている。それはときに奢りとなって表れる。クラブワールドカップ決勝がそうだった。本気でなかったわけではないが、序盤にスイッチが入っていないのは明らか。鹿島アントラーズのせいではない。レアルはときどき、いや、ちょくちょくこういう状態になるのだ。
「気持ちに緩みがあるときは、ハーフタイムまでは修正ができない。ハーフタイムで修正できなければ試合終了までそのままになり、そうなるとたいがいは負ける」
日本代表や横浜フリューゲルスなどを率いた加茂周監督がよく言っていた。レアルは危うくそうなりかけていた。日本のクラブに負けて「世界一」を取り逃がすなど、あってはならないことだ。今年一番の番狂わせとして世界中でニュースになり、白い巨人は赤っ恥をかくことになる。
それが脳裏をかすめれば、大きなプレッシャーとしてのしかかってくる。状況はそうなっていた。が、さすがにレアルの選手は場馴れしていて動揺は小さかったようだ。決勝でほとんど失敗しないクラブでもある。ただ、そこまで追い込んだのは鹿島の実力だ。
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