マッチ・アワードに選ばれた永木亮太
オークランドシティ戦でマッチ・アワードに選ばれた永木亮太【写真:Getty Images】
90分間を戦い終え、熱気を帯びたユニフォーム姿のまま、鹿島アントラーズのMF永木亮太はロッカールームへ戻るチームメイトたちと別れて、横浜国際総合競技場の記者会見場へと誘導された。
ひな壇に座り、日本とニュージーランドを含めた、大勢のメディアの視線を浴びる。アントラーズが2‐1の逆転勝利を収めた1回戦のマッチ・アワード、つまりMVPとして、両チームの監督に先駆けて2問限定でインタビューに応じるためだった。
「自分としては、それほど手応えがなかったというか。アシストの場面はよかったと思いますけど、今日は途中から(赤崎)秀平と(金崎)夢生が入ってきて勝てたので、フォワードの2人に感謝したいですね」
8日に開幕したFIFAクラブワールドカップ2016。開催国代表として、わずか5日前にJ1王者を獲得したばかりのアントラーズが登場。オセアニア大陸代表のオークランドシティ(ニュージーランド)に後半開始早々に先制されながら、途中出場した赤崎秀平、金崎夢生の両FWが連続ゴールをあげた。
そのなかで大会組織委員会から最大級の評価を得た永木は、会見後に思わず照れくさそうな表情を浮かべた。試合の流れを鮮やかに変え、マッチ・アワードを決定づけたプレーは後半22分に飛び出した。
敵陣の右サイドで、MF柴崎岳から横パスを受ける。それをワンタッチで前方のMF遠藤康にはたくと、そのまま猛然とスプリントをかける。あうんの呼吸で遠藤がタメを作る間に追い抜き、オフサイドぎりぎりでリターンパスを受ける。
この時点で相手ゴール前には金崎、FW土居聖真、左サイドバックの山本脩斗の3人が走り込んでいた。グラウンダーのクロスでニアサイドの金崎を狙うもよし、あるいは浮かせてファーサイドの山本も狙うもよし。相手ディフェンダーも必死に戻るなかで、永木はあえて急ブレーキをかける。
上半身をひねり、ゴールとは反対方向へ右足で軽くパスを出す。視界のなかには味方の3人とは逆の方向へバックステップを踏み、右手で小さくパスを手招きしている赤崎の姿をはっきりととらえていた。