例年になくハイレベルだった残留争い
『サッカー批評60』、お読み頂いた方はおわかりだと思いますが、今回は残念ながらJ1から降格してしまったヴィッセル神戸とガンバ大阪についての記事が入っています。その2つ記事の担当編集は私でしたが、制作を進めていく中で、色々と思うことがありました。
昨季、ヴィッセル神戸の勝ち点は39、ガンバ大阪は38。残留したアルビレックス新潟の勝ち点は40でした。これが2011年シーズンだと、15位の浦和レッズは勝ち点36でした。昨季は例年以上の混戦で、残留争いも数字の上ではハイレベルであったことがわかります。
現在のJリーグは抜きん出たクラブがなく、どこが優勝してもおかしくないし、逆に名門と言われるクラブが降格してしまうこともあり得ることです。現にガンバは予想外の順位に終わってしまったわけですから。
もし、ヴィッセルやガンバに訪れた不調が昨季ではなく、一昨季や、あるいはもっと残留ラインの低い年だったらどうだったか。もしかすると残留し、そして昨季にレッズのように3位と一気に順位を上げていた可能性もなきにしもあらず、です。
好調、不調のサイクル、そして他クラブとの「巡り合わせが悪かった」という見方ができなくはないと思います。
ヴィッセル、ガンバへの取材は叶わず
とはいえ、降格の要因を「巡り合わせ」だけで済ませるのは論外です。低迷したのは事実だし、ピッチ内外で問題がなければ、この関西の両クラブは上位に進出するだけの戦力を有していたわけですから。
では何が要因だったのか。そこを今号では探りたかったので、クラブには社長や強化部への取材の申し込みをしました。直接かかわった当事者の言葉から検証したかったからです。
しかし、先方のスケジュールの都合もあり、インタビュー取材はできませんでした。残念です。両クラブはシーズンが終わると社長が退任されたので、タイミングとして難しかったのかもしれません(広報の方は私のしつこい申請にも丁寧に対応して頂いたのですが…)。
自分の失敗を語るのは、誰もが嫌なことです。記事になれば批判を受けることもあるでしょう。ただ、忘れないで欲しいのは、「取材を受ける」というのはサッカー批評編集部に話すのではなく、その先にいる、サッカーファン、サポーターに向けて話すこと、だということです。