ミラン、「昨季までなら勝てなかった」格下に辛勝
結局は大苦戦。格下相手に勝ち点3奪取が厳命されていたミランだったが、クロトーネに非常に苦しめられた。19位の彼らはミランのサッカーを詳細に分析して、バッチリと対策を練ってきた。
普段は4-3-3のシステムを取るが、この日は中盤の選手がフラットに並ぶ4-4-2を敷いた。両サイドではサイドバックとサイドハーフが連携し、スソやエムバイエ・ニアンを挟み込む。もちろん中央のスペースを消し、2トップのうち一人はマヌエル・ロカテッリにプレスを掛けてパスを出させない。そしてボールを奪うと、スピーディなカウンターでサイドバックの後ろのスペースを狙い撃ちにし、プラン通りに先制点も奪った。
試合後の記者会見でクロトーネのダビデ・ニコラ監督は戦術プランを明らかにした。「ミランのポゼッションサッカーはスソやニアンが中のスペースを使い、サイドバックも高い位置を取って攻めてくる。ただスピードは速くない。まずは自陣のスペースをとにかく固めて、あとはカウンターで勝負になると踏んだ」。
展開のスピードが殺され、両ウイングも固められる。久々の先発となったホセ・ソサもプレーに精度を欠いた。ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は「おそらく昨季までだったら勝てなかった」と語っていたが、確かに近年の試合ではドローか負けで終わるパターンだ。ただこの日のミランには、それを覆すものがあった。
まずは、ジャンルカ・ラパドゥーラの存在だ。仲間が相手の厳しい守備に苦労する中、左右に動いてボールを引き出し、しかも守備も懸命にやって相手のカウンターを阻害してくれる。閉塞した展開の中、前線であらゆるボールに競ってくれる彼がいたから、ミランは試合の中で攻撃を立て直すことができた。そして何より、点に絡んでいる。FKのこぼれ球を見事な嗅覚でゴールへと叩き込んだ。