ドイツの英雄、クリンスマンを監督として招聘
かつてドイツにアメリカ流のトレーニングメソッドや競争原理を持ち込み、一大改革を巻き起こした男が今、アメリカをサッカー大国にするための戦いに挑んでいる。2011年から指揮を執るドイツ人のユルゲン・クリンスマン監督が、アメリカ代表を変革させようとしているのだ。
元々、アメリカはボブ・ブラッドリー監督体制でブラジルW杯を迎える予定だった。南アフリカW杯でベスト16入りするなど十分な実績があり、洗練されたカウンター戦術が高い評価を得ていただけに、継続路線という決断に不満を抱く者はいなかった。
しかし2011年6月、地元開催のCONCACAFゴールドカップ決勝でメキシコに敗れたことにより、アメリカサッカー連盟は継続路線が限界に達したと判断し、ブラッドリー監督を解任。
後任として、06年ドイツW杯で開催国ドイツを率い、3位と躍進させたクリンスマンを招聘することとなった。
連盟のスニル・グラティ会長は監督交代に際して「今が適切なタイミングだと信じている」と語ったが、W杯予選がスタートするまでに(アメリカは2013年6月から始まる3次ラウンドから参加)1年ほどの期間があったこの時期は、新監督が戦力を見極め、一からチームを作り上げなければならないことを考えると、まさにギリギリのタイミングだったと言えるだろう。
【次ページ】堅守速攻からポゼッションスタイルへの変更