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好調リバプールに浸透する“クロップ・イズム”。現地記者が見た“兄貴分”の人心掌握術とは

リバプールは現地時間26日に行われたサンダーランド戦に勝利し、リーグ2位を維持した。今季開幕前の下馬評は低かったリバプールだが、勝利を重ねるごとに優勝候補へと挙げられるようになった。何よりもリバプールにとってユルゲン・クロップ監督の存在が好調の大きな要因である。“兄貴分”として知られているクロップ監督の人心掌握術を、現地記者が分析する。(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

好調維持するリバプール。開幕前の下馬評を覆し優勝候補に

クロップ
リバプールのユルゲン・クロップ監督【写真:Getty Images】

 リバプールサポーターにとっては予想どおりである一方、それ以外のサッカーファンには意外に映っているかもしれない。ユルゲン・クロップ率いるリバプールはシーズンの3分の1に当たる13試合を終えて9勝3分1敗。開幕から好調を維持しているのだ。

 8月上旬のシーズン開幕直前。解説者や記者を含めた大方の識者が、リバプールの予想順位として「5位、6位が妥当」と語っている人が多かった。またその時点では大手ブックメーカーも倍率15~20倍で、優勝候補の6番手に挙げていた程度だった。しかし勝ち点差1で首位チェルシーを追いかける現在、そのオッズは2.5~3倍まで下がっている。

 だが開幕前の低評価は妥当だったと考えられる。70~80年代に隆盛を極めた名門中の名門クラブとはいえ、1989/90シーズンを最後に26年も優勝から遠ざかっている。特に直近の7シーズンでは、ルイス・スアレスの獅子奮迅の活躍で2位へと導いた2013/14シーズン以外、6位が2度、7位が2度、8位が2度のチームである。

 昨季はブレンダン・ロジャース前監督が解任された10月上旬、開幕から8試合を終えた時点で勝ち点12の10位と低迷していたが、クロップ就任以降も最終的には2つ順位を上げただけの8位で終戦。

 好不調の波が激しく、期待値の高かったドイツの“名将”といえども、昨季終了時点ではチームを完全掌握しているとは言えない状況。そんなチームでは、下馬評も低くなって当然だ。

 その一方で、結果的には敗れたとはいえ、リーグカップとヨーロッパリーグの両カップ戦ではファイナルまで勝ち進んでみせた。選手のマンマネジメント力が肝要なだけに、クロップの手腕があったからこそできた技だと評価する声も少なくなかった。

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