ゲームキャプテンが経験した葛藤の日々
「もっともっと、やらないといけない」
今シーズンのジュビロ磐田を取材し、上田康太に話を聞くたび耳にした言葉だ。彼は現状に苦しみ、抗い続けてきた。昨季に引き続きゲームキャプテンを務めたレフティーは、J1復帰初年度のチームを牽引すべき存在だった。
しかし、実際は葛藤の日々だった。
明治安田生命J1リーグ開幕当初、上田は主力の一人だった。2月末に行われた名古屋グランパスとの第1節では、前線に飛び出すなど意気盛んな姿勢を見せた。しかし、中盤での不用意なミスを奪われると、結果的にこれが失点に直結してしまう。
その後もらしくないプレーが続き、第4節・アビスパ福岡戦ではベンチ外に。名波浩監督は、パフォーマンスが上向かないことを理由に挙げた。スタメンに復帰した際は気迫に満ちた戦いも見せたが、それを持続させることができない。結局、年間を通して見た時、上田は必ずしもレギュラーとは表現できない立場だった。
「もっと試合に出て活躍したいという気持ちは、僕だけじゃなくて誰でもそうだと思う。キャプテンをやらせてもらって、チームの中心にいなきゃいけない存在なのに。そういう意味でもより悔しい1年だった。ジュビロを強くするために戻って来たと思っているので、もっともっと勝利に貢献したいという思いが強い」
昨シーズンは宮崎智彦、川辺駿といったパートナーと息の合った連係を見せていた。J2を勝ち抜いたサックスブルーの中心には、背番号7がいた。ジェイ、カミンスキー、小林祐希と浮沈の鍵を握った選手は何人かいた。彼らと同じくらい、上田がどれだけチームを向上させられるかという点も重要なポイントだった。