セビージャに清武を手放す考えはない
日本代表での活躍と、セビージャで続く招集外の日々……。そのギャップによって清武弘嗣はアンダルシアの名門クラブを裏口から去るべき、という意見は日に日に増している。スペインにおいてもいくつかのメディアは、この日本代表MFが冬の移籍市場での放出対象と報じ始めた。
だがしかし、現時点でセビージャに清武を手放す考えはなく、彼という選手を信じ続けている。これこそがクラブに問いかけて返ってきた答え、つまりは真実である。
さて、清武のセビージャでの立ち位置を明確にするためには、同クラブ加入の時期を振り返らねばなるまい。今夏の移籍市場で、セビージャはハノーファーから清武を引き入れたが、クラブにとってパブロ・サラビアに続く2人目の獲得選手だった。
サラビアと清武の獲得は、敏腕という呼称さえ陳腐となった世界屈指のスポーツディレクター、モンチ率いる強化部と当時チームを率いていたウナイ・エメリのコンセンサスの下で決定。
スペイン語とフランス語を駆使するモンチ(英語は勉強中)が、スカウト網を最も張り巡らせているのはリーガエスパニョーラとリーグ・アンだが、ドイツにいるスカウトが推薦した清武の実力は目を見張るもので、数年にわたってそのプレーを追い続けた後に、エメリとともにチームに加えることを決断したのだった。
けれども、モンチが清武の獲得オペレーションに着手した際に、セビージャは大きな方向転換を迫られる。エメリがパリ・サンジェルマン(PSG)から届いたオファーに目を輝かせ、セビージャとの契約解消を求めたのである。
そのためにモンチは、急遽として南米の名将ホルヘ・サンパオリの招へいに動く。清武のセビージャ移籍が公式に発表された際には、エメリ代理人との契約解消に関する話し合い、またサンパオリとの交渉を同時に進める事態となったのである。